ホロスプランニング
堀井計の午睡
2005.04.01

人を安らかに活かす「看取りの三原則」とは

最近立て続けに学生時代の同級生がガンに罹りました。一人は直腸ガン、幸いにも早期発見で大事には至らず今は元気に働いています。もう一人は肺ガンでした。診断されたときには最早手遅れで数ヵ月後に還らぬ人となりました。享年46歳。ご冥福をお祈りするばかりです。年齢的には人生の折り返し地点を過ぎ、一瞬一瞬の大切さ、朝目覚め、夜就寝できることのありがたさを実感する今日この頃です。
亡くなった私の友人も、最期は痛みとの戦いだったそうです。それを聞いた時、昔ある研究会で教わった「看取りの三原則」を思い出しました。

「看取りの三原則」とは、京都四条病院の中野進院長が何人もの患者さんの最期に立ち会われた時、どんなに苦しまれた方でも、どんな人生を送られた方でも最期くらいは安らかに眠っていただこうと思い実践されてこられた三つの心得です。

それは、

1、痛みをとめる
2、いいところをほめる
3、身体をさする

だそうです。中野先生は「自分は人にそうしてあげたいと思うだけではない。自分も死ぬときはそうしてほしいんだ」とおっしゃっておられます。具体的には、
1、は医師の務めとして、注射や投薬などによりまず痛みをとめてあげること。
2、はどんな方でも人生の中で輝いていた時期や得意なことがあるはずで、それを聞き出してほめてあげること。そのことを思い出し、ほめられて患者さんのエネルギーは上がるのだそうです。
3、はただ黙って患者さんの身体をさすってあげる。それだけで患者さんたちは気持ちよく眠りにつかれていくそうです。(亡き私の父が肝臓ガンの末期で入院していた時、当時あまり仲が良くなかった二人の叔母がお見舞いにきて、無言でいつまでも父の足を一生懸命さすっていたことを思い出しました。)

もちろん患者さんの病気を治すことが医師の役目でしょうが、運命に従い人生の終止符をうたれる最期に、少しでも安らかな状態で眠らせてあげようという中野先生の優しさに感動を覚えました。

ところでこの話は、人生の終焉に立ち会う医師と患者さんの話にとどまりません。日常の仕事における上司と部下や営業現場における取引先と営業パーソン、親子や夫婦との関係において能動的に相手を「安らかに活かす」ことに応用できそうです。

まず「痛みをとめる」必要がある人にはまず相手が今何に悩み心を痛めているかをしっかり理解してあげなければいけません。その為にはよく観察し、よく問いかけ、「何か協力できることはある?」などと聴いてあげることが「とめる」為の入口でしょうか。そして課題解決に協力してあげる。ただ、あまり過保護に関与しすぎるとその人が甘えすぎたり、力がつかなかったりもするので「とめる」タイミングは微妙かもしれませんが。

「この人はいつも自分に気を掛けてくれている。そしていざという時は助けてくれる(とめてくれる)」と思われる存在を持つことで相手は「安らかに活かされる」。
次に「良いところをほめる」。誰にでも良いところや良かった時はあります。まずそこを褒められて嫌な気分になる人はいませんよね。逆に過去や現在を否定されたとき、人によっては極度の自己嫌悪や自信喪失、もしくは否定された相手への憎悪を覚える場合もあります。謙虚に自己反省をすることは大切なことですが、その人に成長してもらいたいという気持ちであっても、「他人からの否定のメッセージ」は余程信頼関係があるか心が強い人でなければ逆効果になる場合が多いような気がします。もし改善点を指摘する場合でも、まず過去や今のその方のある部分だけでも肯定し(本当は全て肯定し)、褒めてからのほうがうまくいくのではないでしょうか。私の課題でもありますが、常に良いところにスポットをあて「褒め慣れ」することで人は「安らかに活かされる」。

そして「身体をさする」。これは下手にやりすぎて人を間違うとセクハラになるので要注意です(笑)さするとは、タッチする、スキンシップをはかることです。心理学用語では「ストローク」といい「相手の存在や価値を認めるような様々な刺激」をさします。握手する、ハグする、そっと肩に手をやる、笑顔で接するなどは「プラスのストローク」といい相手に安心感や信頼感を与えます。逆に「マイナスのストローク」とは究極は「無視されること」、特に日常の上下関係や強弱関係においてこれを続けられるとかなり強靭な精神の持ち主でも耐えられなくなってしまいます。職場や家庭など日常の人間関係の中で少し意識して「さすること」で相手は「安らかに活かされる」。

どうです?中野先生の人生の最期を安らかに看取る心得「看取りの三原則」は実は日々の生活で人を「安らかに活かす」三原則でもあったのです。
「とめる」「ほめる」「さする」、お互いが与えることを心がけられる、そんな人達に囲まれた毎日、組織、家庭ができたら良いと思いませんか?

私もできることから始めてみます!
堀井 拝
(参考文献:マハ-サマーディ研究会創刊準備号)

この記事を書いた人
堀井計
堀井計
(株)ホロスホールディングス
代表取締役社長
(株)ホロスプランニング
代表取締役会長
Profile
ソニー生命保険株式会社 京都中央支社長/株式会社アダムス 取締役ゼネラルマネージャー/株式会社エスクァイアマガジンジャパン 取締役/2001年4月 株式会社ホロスプランニングとしての営業を開始/2007年11月 株式会社HOLOS-BRAINS 取締役会長就任 ※現任/2014年2月 株式会社ホロスホールディングス 代表取締役社長就任 ※現任/2017年10月 株式会社エルティヴィー 代表取締役会長兼社長就任 ※現任 ☆趣味は読書、サーフィン、落語。☆
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皆さんこんにちは。ホロスグループ代表の堀井です。
日常にあるちょっとした出来事や体験で気付いたことにユーモアをブレンドし、独断と偏見に満ち満ちたコラムやブログを書いてます。お気に召す方は是非無料のサプリとしてご愛用ください(笑)
ブログ:ワタスがほりいけいダッ