お金に関する豆知識

自己破産後の生活はどうなる?次に借り入れできるのはいつ?

消費者金融や銀行のカードローンから借りて、返済できなくなったときの法的な解決方法のひとつに「自己破産」があります。

これは最終手段として用いられるもので、借金が返済できない人すべてに適用されるわけではありません。

どういうときに使われるのか、また、この手続きをした後の自分の生活がどうなるのか理解しておきましょう。

FP監修者
森本 陽子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)CFP認定者。自身の経験や知識を活かし、複雑なお金の仕組みや知識をわかりやすく解説しておりツイッターでの有益な呟きにも注目。

自己破産後に生活はどう変わる?

そもそも自己破産とは

債務整理のひとつ

借金が返済できなくなったときの救済制度として法的に認められた制度が「債務整理」です。

債務整理には「自己破産」「個人再生」「任意整理」の3つがあり、そのうち自己破産は、今までの借金のすべてをなかったことにできる措置です。

・自己破産:裁判所を通して借金を全額免除する方法

・個人再生:裁判所を通して借金を大幅減額する方法

・任意整理:裁判所を通さずに借金を減額する方法

自己破産できる条件とは

自己破産できる条件は、「借金を返済できる見込みがない」ことです。

収入や借金の状況を見たときに、どう考えても借金を返済できない場合に限り、自己破産が認められます。

借金の金額は関係なく、あくまで返済不能かどうかで判断します。
借金100万円は、年収が1000万円の人には返済可能ですが、年収100万円の人には返済は不能でしょう。

何のための自己破産か?

自己破産は借金が返済できない状態の人が、生活に困らない程度に財産を売却して債権者に提供し、返済を免除してもらう制度です。

借入額に制限などはなく、借入先も消費者金融業者に限らず銀行や友人からの借金でもすべて帳消しにできます。
個人が負う債務を整理するにあたって、最終的な手段として用いられます。

自己破産をする目的は、その人の生活の再建です。
借金が返済できないとき、人はまともな判断力を失います。「返さなければならない」と思い込むことで、自殺を図ったり他人から盗んだりといった行動に出てしまうリスクがありますが、そういった危険を遠ざけるための手段です。

たとえば以下のような状態のとき、自己破産が検討されます。

・借金総額が年収よりも多い。

・金融機関から「これ以上貸付することはできない」と言われた。

・利息の支払いだけで精一杯で、元金の返済に回せるお金がない。

・複数の金融機関から借金している。

・借りたお金で返済することを繰り返している。

・すでに給料や銀行預金が差し押さえられている。

・収入がない、または少なく、増える見込みがない。

・任意整理や個人再生では解決できない。

このような状態から脱して、健全な社会生活を送ってもらうために、裁判所が「この人は破産したので、すべての借金の返済の義務から解放する」と申し渡すのが自己破産です。

自己破産の悪影響

生活上の影響

自己破産すると、様々な悪影響が及びます。

たとえば、一定のレベルを除いて財産はすべて手放すことになります。
自家用車やバイク、生命保険などの財産を処分して債権者に配ります。

また、いわゆる「ブラックリストに載る」という状態になり、最大で10年間はローン契約ができません。

金銭面での影響

自己破産する人が手放すことになる財産は以下のようなものです。

・99万円を超える現金

・20万円以上の財産

・生命保険の解約返戻金

・自動車やバイク

・生活に必要な家具

・自己破産時の給料債権

銀行に預けていたお金や、普段利用している自動車も差し押さえの対象となるので、現在と同じレベルの生活水準を保つのは困難です。

ブラックリストに載る

自己破産すると、最大で10年間はローン商品の利用ができなくなり、クレジットカードを取得することができません。

自己破産したことは個人信用情報機関に登録され、その情報は金融機関で共有されます。
ローンの申し込みをしても「この人は借りたお金を返済できない人」とみなされ、審査担当者から貸し倒れリスクが高いと判断されます。

信用情報は個人と金融機関との間で行われた取引を記録した個人情報です。
自己破産によって信用情報には大きな傷が付くため、たとえば以下のようなローン商品の契約ができなくなります。

・クレジットカード

・カードローン

・フリーローン

・住宅ローン

・教育ローン

・自動車ローン

信用情報に自己破産の履歴が残っている期間は、様々なローン商品の審査に通過できません。

自己破産を検討している人は、10年間はローン商品やクレジットカードが利用できなくなることを踏まえておきましょう。

職業によっては仕事を制限される

自己破産した人は。民法の規定によって一定の仕事に就くことを制限されます。自己破産により制限される職業は以下のようなものです。

・弁護士

・司法書士

・税理士

・公認会計士

・警備員

弁護士や司法書士が自己破産した場合には、目安として3ヶ月から6ヶ月の間、業務を制限されます。
一定の期間が過ぎれば業務は再開できますが、自己破産したことで顧客の信用を失う可能性があります。

自己破産は「借金苦を解決する最終手段」です。
ローン商品の利用などで制限を受ける代わりに、すべての借金の返済義務を免除してもらう制度です。いつでも誰でも簡単にできるものではありません。

自己破産後にキャッシングはできる?

自己破産の記録はどこに何年残るか

自己破産した直後は、カードローンなどの借入はほぼ不可能になります。

自己破産すると信用情報機関にその記録が残りますし、官報にも記載されます。
カードローンなどの申し込みをすると、審査のときに「この人は自己破産をしたことがある」と発覚します。

しかし、いったん自己破産したらその後ずっと絶対に借りられないというわけではありません。

銀行やクレジットカード会社、消費者金融業者などは、それぞれが加盟している信用情報機関があります。ローンやクレジットカードを申し込むときの審査では、官報に載ることよりも、信用情報のほうが問題視されます。いわゆる「ブラックリストに載る」という状態になり、審査に通過することは不可能になります。

日本にはCIC、JICC、KSC(全国銀行個人信用情報センター)の3つの情報機関があります。各機関での自己破産情報の登録期間は以下のようになっています。

全国銀行個人信用情報センター(KSC 最長10年で削除
シー・アイ・シー(CIC 最長5年で削除
日本信用情報機構(JICC 最長5年で削除

3つの機関は「CRIN(クリン)」という情報ネットワークでつながっていますが、すべての情報が共有されてはいません。
信用情報を確認したい場合には、必要なら3つの機関すべてに個人情報開示を請求する必要があります。

たとえばKSCでは破産した情報は最長10年間記録されますが、これがCRINで共有されているわけではありません。
CICとJICCなら破産情報は5年で消去されます。

そのため、たとえばCICとJICCには加盟しているが、KSCには加盟していない消費者金融業者なら、自己破産後5年経ったら借入できる可能性があります。

信用情報を確認しよう

CIC

CICに情報を開示請求するのに最も簡単なのはインターネットで請求する方法です。

CICのホームページからクレジットカード会社などに届け出ている電話番号を使って受付番号を取得し、受付番号とお客様情報を入力すると、パスワードが発行されます。

開示請求ページに情報を入力すると、「信用情報開示報告書」がPDFファイルでダウンロードされます。

JICC

JICCに開示請求するには、まずJICCのホームページにアクセスしてページに記載されているQRコードを読み取り、ストアから「JICC書類送付アプリ」をダウンロードします。

利用規約に同意して、空メールを送信すると返信が来るので、そこに記載されているURLからアクセスします。
表示されたページに必要な情報を入力して「JICC書類送付アプリ」を起動します。

本人確認書類を撮影して送付すると、またメールが返信されてくるので、そこからアクセスして決済方法を選択します。
その後、JICCで本人確認書類が確認されると、簡易書留で開示書が郵送されます。

KSC

KSCのホームページで配布されている「登録情報開示申込書」をダウンロードして、必要事項を記入して送信します。

ゆうちょ銀行や郵便局で定額小為替証書を取得し、本人確認書類のコピーを用意します。

申込書と小為替証書、本人確認書類の3点と、返信用封筒を送付すると、開示書が返送されます。

銀行のローンは無理?

銀行のローンは、債務整理をした人に厳しい傾向があります。

すべての自己破産者とは限りませんが、個人情報機関から自己破産の履歴が消去されても、銀行は官報をチェックするところが多く、その場合には破産経験者は審査で否決されます。
官報は永遠に記録として残るので、銀行のローンの申し込みは困難と考えていいでしょう。

とはいえ、自己破産から年月が経っており、返済能力も充分であって、銀行以外のローンの利用の履歴がキレイであるなら可能性はあります。
また、実際に自己破産をした人でも大手の銀行のカードローンの審査に通ったという事例もあります。

銀行によっては、官報のチェックを行っていないところもあります。
たとえば新生銀行では、「融資の際に官報のチェックをしていない」という回答が得られたというネットユーザーからの報告もあります。

大手の消費者金融で少額から

自己破産後にカードローンやキャッシングの利用をするなら、大手の消費者金融業者が最も可能性が高いでしょう。

多くの消費者金融業者はJICCとCICの2つに加盟してはいますが、自己破産歴が10年間残るKSCには加盟していません。そのため、自己破産後5年経ったら申し込める可能性があります。

こういった事例は非常に多く、自己破産から5年後に借りることができたという報告は多くのサイトに寄せられています。

ブラックリストから消去されたばかりの人でも比較的簡単に借りられることが多いですが、注意すべき点があります。

それは、最初は少額融資から申し込むということです。
まずは小さい取引から始めて「きちんとお金を返済できる」という実績を作ってから限度額を引き上げていきましょう。

また、借入の申し込みをする際には、過去に自分が破産していたときに利用していた金融機関は、ほぼ確実に審査に通らないという点にも注意が必要です。

信用情報機関の履歴は消えても、自己破産したときにお金を貸していた金融機関のなかでは「社内ブラック」として扱われている可能性があります。

クレジットカードのキャッシングは?

自己破産後に申し込む借入先として、消費者金融業者や銀行のカードローンよりも審査が通りやすいのはクレジットカードでしょう。

信用情報に破産記録がなくなった時点で、クレジットカードなら審査に通りますし、ショッピング枠に付帯させる形でキャッシング枠を付けるだけなら借入できる可能性があります。

必ずしもどのクレジットカードでも審査が通るとは限りませんが、まずはショッピングのためのカードとして申し込みするなら審査はそれほど難しくないでしょう。

その後は、保有しているだけでなく、実際に使ってみることが重要です。
クレジットカードのショッピング枠で何回か分割払いやリボ払いなどをしておくと、信用情報には「返済している」という実績が蓄積されます。

返済できる人としてクレジットカード会社に認知されれば、そこにキャッシング枠を付帯させるのは、他のカードに改めて申し込むよりも審査に通りやすくなります。

ただし、金利は高めですので注意しましょう。

・大手のクレジットカードのキャッシング枠の金利

クレジットカード 金利
楽天カード 18%
三井住友VISAカード 18%
イオンカード 7.8%~18%
ヤフージャパンカード 18%

金利18%はクレジットカードのキャッシング枠よりも、利便性の高い消費者金融業者のカードと同じレベルです。

サービス面では見劣りするのに、金利だけは同じ高さというのは、多少使いにくいと感じるでしょう。
とはいえ、実績作りを目的とするなら充分に使う価値はあります。

中小の業者も視野に入れよう

もし、自己破産後に「消費者金融業者から借りたい」と考えるなら、実は大手のほうが使いやすさの点で大きくメリットがあるため、自己破産のときに迷惑を掛けていない業者に申し込むのが最もおすすめです。

ただ、「自分がどこと契約していたのか忘れてしまった」「大手はどこからも信用を失ってしまった」などの場合には、中小の消費者金融業者に申し込んでみましょう。

中小の業者といっても、全国からWeb経由で申し込めるところもあり、セブン銀行のATMが使えるところもあります。
また、中小消費者金融は大手にはない独自の審査基準を設けており、債務整理経験者でも審査に通る可能性は高くなります。

というのも、中小の業者は知名度では大手に断然劣るため、大手で断られるような人にも貸し付けることで生き残りの戦略としているからです。

大手の審査はまずは申込者の様々なステータスを数値化して採点していくスコアリングシステムですが、中小の業者の審査は「申込者本人」を見て審査します。

単なる数字では現れないその人自身を審査するというのが中小の業者のスタンスです。

そのため「返済の意思があること」「返済能力が充分にあること」をアピールしていく必要があります。
審査では提出する書類が多めになりますが、検討する価値は大いにあると言っていいでしょう。

自己破産から5年以内で借りるには

フリーローンなら可能性あり?

自己破産後は、最低5年間はどこからもお金を借りることができません。

中小の消費者金融業者なら可能性もありますが、様々な条件が付きます。

・自己破産直後ではなく、少なくとも2年以上は経っている。

・充分な返済能力がある。

・「返済していく意思がある」ことを正直に伝えている。

・どうしても借りなければならない理由がある。

自己破産は債務整理のなかでも最も重い手段です。

免責を受けるためには価値のある財産を手放さなければならないことを含めて、金融機関からは他の債務整理とは比較にならないほど警戒されます。

3ヶ月上の延滞や強制解約もブラックリストに載る事由となりますが、自己破産を理由としたブラック状態での審査通過は難易度が飛躍的に高まります。

とはいえ、まったく可能性がないわけではなく「2回目の融資には再審査が必要となる」フリーローンなら自己破産後5年以内でも借りられる可能性があります。

良く知られたところでは、「キャッシングエニー」「キャネット」などがそういったブラック状態で審査に通過できたという事例が報告されている業者です。

免責から7年以内で借りるのは危険

エニーやキャネット以外にも、自己破産から5年以内で利用できる消費者金融業者は実際に存在しており、インターネットには数多くの情報が寄せられています。

ただ、自己破産経験者が新規に借入するのは非常に危険性が高く、良く検討する必要があります。
というのも、免責が下りてから7年間は法律上2度目の免責を受けることができないからです。

自己破産を起こして7年以内に再び返済不能の状態に陥ったときには、任意整理もしくは特定調停くらいしか対処方法がありません。
原則的に借金そのものを減らすことが不可能になります。

もし自己破産後に再び借入して返済不能になったら、今度こそ逃げ場がまったく無くなってしまいます。
そのため、自己破産を起こしたら7年間は大手からも中小からも借入しないのが賢明なやり方です。今ある収入だけで生活するように心がけましょう。

自己破産の対象になっていない業者なら可能性あり

自己破産から5年以内でも、大手の消費者金融業者の審査に通ったという事例はいくつか報告されています。

自己破産したこと、5年以内に審査に通ったことを証明する写真付きで紹介しているブログは数多く存在しています。
そのため、実際に「自己破産から5年以内」「大手で審査通過」は不可能ではないと考えられます。

ただし、こういったブログや体験談にはある程度の共通点があります。

重要なものとして「自己破産時に借入対象となっていない業者」である点が挙げられます。
これまでに迷惑を掛けていない業者であるため、ブラックリストに載ってはいるが、審査に通過できたと考えられます。

その他、以下のような条件が揃っているときには、自己破産5年以内に大手の審査通過がある程度期待できます。

・返済できるだけの収入がある。

・他に借金がない。

・少額で申し込んでいる。

・申込時に「ブラックリストに載ってはいるが、どうしてもお金が必要である」と相談している

闇金からの勧誘に気をつけよう

自己破産すると「官報」に名前が記載されます。

銀行のカードローンの審査担当者はこれをチェックして、すでに個人信用情報機関からネガティブ情報が消去されている人でも審査通過させないようにしています。

しかし、銀行のカードローン以外にも官報をチェックしている人がいます。闇金業者です。

闇金業者の基本的な考え方は「違法な金利で稼ぐ」ことです。

貸出したお金が返ってこなくても、違法に高額な金利と遅延損害金を脅し取って、延々と儲けを生み出そうとするのが闇金です。
そのため、自己破産者は闇金にとっては狙われやすい存在です。

闇金は官報をチェックして、自己破産者をリストアップします。

ローンを組むことができずに生活が苦しくなったというタイミングを見計らって「融資できます」という電話やメールを送ってきます。

破産している人に融資の勧誘をするというのは一般的にまともな思考ではありません。

一度でも闇金を利用してしまったら、延々とつきまとわれ苦しめられます。
闇金から勧誘が来ても、強い意志できっぱりと断りましょう。

自己破産後の生活はどうなる?まとめ

自己破産すると一定基準以下の財産を手放すことになりますが、それ以外では生活上の制限はありません。

ただ、ブラックリストに載ってしまうので、5年から10年の間は新たにローンを利用することができません。

その代わり、すべての借金の返済義務を免除されます。
再び借入できるようになっても。慎重に借入先を選ぶようにしましょう。

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