美容整形に関するお金は高額になるのが一般的です。
20代などの若い世代では負担が大きすぎるため、一括での支払いが難しいこともあるでしょう。
そんな時に使えるのが「医療ローン」です。
ローンを組むことで、高額な医療費を分割で支払うことが可能になります。
今回は、医療ローンの基礎知識を紹介します。
美容目的の医療は全額自己負担が原則
美容に興味がある方にとっては周知の事実かもしれませんが、美容を理由とした手術などの医療行為を受ける場合、健康保険が適用されません。
「鼻を高くしたい」「まぶたを二重にしたい」など、美容に関する想いは人それぞれです。
しかし、いずれも保険の対象外であり、全額を自己負担で支払う必要があります。
病気やケガでの入院であれば治療方法や疾患の種類が細かく点数化されており、それに基づいた請求が行われます。
基本的にどの病院で治療を受けたとしても、金額に変わりはありません。
一方で美容整形のような自由診療の場合は、クリニック単位で自由に料金を設定できます。
同じ内容の手術であっても、クリニックによって大きな金額差が生じることもあるのです。
整形ローン・美容ローンとして使える金融商品
ひとくちに美容・整形といっても、その種類も料金もさまざまです。
5万円~10万円で済むプチ整形もありますが、骨を削るような大手術の場合は100万円を超えることもあります。
一方のローンにもさまざまな種類があり、どれが適しているかは「必要な料金」「支払いまでの緊急度」等によっても異なります。
美容整形目的で利用できるのは、以下の3つのローンです。
- 医療ローン
- フリーローン
- カードローン
医療ローン
医療ローンは、住宅ローンやマイカーローン、教育ローンなどと同じ「目的別ローン」の一種です。
名前の通り医療費(手術・治療・投薬など)の支払いに特化しています。
同じ医療ローンでも、「銀行等の金融機関が提供しているローン」と「美容クリニックが信販会社と提携しているローン」の2種類に分かれます。
両者の特徴をまとめました。
クリニック提携の信販会社の医療ローン
治療を受けるクリニックに直接申し込むローンです。
クレジットカードを扱っている「信販会社」が取り扱っています。
クリニックを経由して信販会社にローンの申請を行うため、施術とローンの申し込みを1ヶ所で完結できるのが特徴です。
信販会社がクリニックに直接医療費を支払う形式のため、利用者がクリニックに振り込む必要がありません。銀行に比べて手続きが簡単なのがメリットです。
融資を受けるスピードも一般的に銀行より早く、その場で審査結果が出ることもあります。
その分、銀行の医療ローンよりは金利が高めに設定されています。
銀行等が提供する医療ローン
目的別ローンの1つとして、一部の銀行でも医療ローンを取り扱っています。
申し込みは自宅からwebで完結させることができますが、審査の際に「お金を使う目的が間違いなく医療である」ことを証明するため、クリニックから出される見積もり書・請求書を提出する必要があります。
審査スピードも信販会社より遅いのが一般的です。
おおむね1週間~2週間は必要だと思っておきましょう。
融資が決まった場合は自分自身の口座に振り込まれるため、自分でクリニックに支払いを行う必要があります。
クリニック提携の医療ローンより、手続きや支払いに手間がかかることも覚えておきましょう。
その分、支払う利息を計算するための「金利」が他のローンと比べて低いのがメリットです。
支払いまでに余裕がある人や、少しでも返済金額を安くしたい人は、銀行の方が適しています。
フリーローン
銀行で提供されている「目的が限定されていないローン」のことです。
目的別ローンと異なり、借りたお金は投資や事業目的以外であれば自由に利用できます。
借入は目的別ローンと同じく1回きりで、その後は元金に利息を加えた金額を返済していくことになります。
利用使途が限定されていないことで使い勝手が良い分、目的別ローンに比べると金利は高めに設定されています。
「美容整形の支払いと化粧品の購入の両方に使いたい」といったように、複数の使い道がある場合に適しています。
カードローン
銀行や消費者金融が提供する個人向けのローンのことです。
「ローンカード」と呼ばれるカードを利用してお金を借り入れることができます。
現在では、スマートフォンのアプリを使うことでカードなしで借入れ・返済も可能です。
最大の特徴は、何度でも借り入れと返済を繰り返せることです。
契約時に「利用限度額」が設定され、利用限度額の範囲内であればいつでも何度でもお金を借りることができます。
借り入れた分の利用限度額は減少し、ゼロになれば新しく借り入れることはできません。
返済すれば枠が復活するため、また借りられるようになります。
フリーローンと同じく利用使途は自由のため、「やっぱりもう少しお金が必要だった…」といった場合に柔軟に対応できるのが強みです。
ただし、利便性が高い分だけ金利はほかのローンより高いのがネックです。
その代わり、初回限定で「30日間無利息」など独自のサービスを展開して差別化が図られています。
無利息期間内で完済すれば利息の負担はありません。短期間で返済できる人は、もっともお得に借り入れできる可能性があります。
医療ローンとは
医療ローンは、住宅ローンなどと同じ目的別ローンの一種です。
以下のような医療費の支払いが必要な場合に、医療ローンから支払いができます。
- 治療費
- 入院費
- 先進医療
- 検査費
高額な治療費がかかる医療費に対応したローン
一般的な医療費は公的な健康保険の対象で、自己負担は3割に抑えられます。
「高額療養費」の制度を利用することができれば、自己負担はさらに安くなる可能性があります。
一方で、厚生労働省が認可した「先進医療」や未認可の「自由診療」では、公的保険が適用されません。全額自己負担のため、治療が長引くほど自己負担は大きくなっていきます。
そんな時に医療ローンを利用すれば、高額な医療費を分割払いにすることが可能です。
お金の心配を後回しにして、今どうしても受けたい医療を受けることができます。
美容整形用のローンとしても使える
すでに紹介した通り、美容を目的とした医療行為には公的な健康保険は適用されません。
全額が自己負担のため、20代の若い人にとっては経済的負担が大きくなってしまいます。
一例として、主な美容整形にかかる費用の相場を紹介します。
「一括で払うのは難しいな…」と感じたら、医療ローンを検討しましょう。
施術 | 金額相場 |
---|---|
二重まぶた(埋没法) | 両目で100,000円以内 |
なみだ袋形成 | 100,000円 |
豊胸手術 | 1,00,0000円 |
脂肪吸引 | 300,000円前後 |
わきの下の脱毛 | 両脇で20,000円前後 |
上記の金額はあくまでも目安です。詳細な医療費は施術を受けるクリニックでご確認ください。
金利は業者によって異なる
医療ローンは銀行をはじめ、クリニックと提携した信販会社でも取り扱いがあります。利用する金融機関によって、適用される金利は異なります。
銀行同士の金利の違見いをてみましょう。
銀行 | 商品名 | 金利 | 利用限度額 |
---|---|---|---|
スルガ銀行 | メディカルローン | 年7.0%~年11.0% | 最高800万円 |
千葉銀行 | ちばぎん医療ローン | 年5.00%~年5.20% | 最高500万円 |
福岡銀行 | メディカルローン | 年6.0% | 10~300万円 |
同じ銀行であっても、金利も利用限度額もここまで違うのです。
福岡銀行では他の銀行と同等の金利ですが、利用限度額は他の銀行より小さくなっています。脂肪吸引など、高い医療費がかかる支払いには適さないことがあるかもしれません。
受ける治療の料金によって、選択する金融機関は自然と変わってきます。
カードローンとの比較
医療ローンは目的別ローンの一種であり、原則としてカードローンよりも低金利です。
スルガ銀行のメディカルローンと大手の消費者金融、銀行のカードローンと比較してみましょう。
金融機関 | 種別 | ローン名 | 金利 |
---|---|---|---|
スルガ銀行 | 銀行・目的別ローン | メディカルローン | 年7.0~11.0% |
アイフル | 消費者金融カードローン | キャッシングローン | 年3.0~18.0% |
楽天銀行 | 銀行カードローン | カードローン | 年1.9~14.5% |
見てのとおり、医療ローンの金利がもっとも低くなっています。
次いで行のカードローン、最後に消費者金融のカードローンの順番です。
金利が低い分だけ利息が安くなるため、少しでも支払総額を抑えたいなら医療ローンを検討するのがおすすめです。
審査項目
クリニックと提携している信販会社に比べ、銀行の方が審査が慎重に行われる傾向があります。
主に銀行の審査で見られる項目を見ていきましょう。
成人しているか
医療ローンをはじめとした銀行のローンは、成人していることが条件です。
カードローンやフリーローンも同様、未成年は申し込むことができません。
例外は、クリニックで扱っている信販会社のローンです。
「親の同意」または「連帯保証人をたてる」ことが必要ですが、それさえできれば未成年でもローンを組んで医療行為を受けることができます。
未成年者がローンを組む場合、選択肢はクリニックの医療ローンだけということです。
収入の安定性
医療ローンはほか目的別ローンと同じく、年収に関する項目は重要な項目です。
ただ年収が高いことよりも、安定していることが大切になります。
例えば会社員や公務員は月給制で給料が保証されており、休んだとしても有給休暇を使えば大きく手取りが減ることはありません。
一方のフリーターでも申し込むことはできますが、シフト制のため働かなければ収入は減少します。
景気が悪くなると最悪の場合は解雇になる可能性もあり、会社員や公務員よりは評価が低くなります。
他社借り入れ能力
すでに他社でたくさんのお金を借りている場合、審査に悪影響を与えます。
複数の金融機関からお金を借りていて返済できない状態の人は「多重債務者」と呼ばれ、この状態では審査に通過するのは難しいでしょう。
また、複数の金融機関から借り入れしていると、自然と年収に占める「返済比率」が高くなり、審査には不利に働きます。
金融機関によっては審査内容は異なりますが、一般的に返済比率は35%以内に抑えることが好ましいでしょう。
信用情報に傷がないか
信用情報は、過去の金融商品の利用実績のことです。
「傷がある」とは、過去に返済の延滞を発生させたり自己破産したりといった「金融事故」が記録されているケースを指します。いわゆる「ブラック」と呼ばれる状態です。
この状態では、原則として審査に通過することはできません。
一度信用情報に傷がつくと、5~10年は削除されません。
長い期間に渡ってローンの利用が制限されることを覚えておきましょう。医療ローンならまだしも、住宅ローンやマイカーローンの審査にも通過できなくなります。
ローンのほか、スマートフォン本体の分割払いの滞納も対象です。
医療ローンのデメリット
銀行の医療ローンは慎重に審査される関係もあり、融資のスピードという点では信販会社に劣ることが多々あります。
ほかにも、銀行の医療ローンのデメリットはいくつかあります。代表的なデメリットを見ていきましょう。
即日での融資はできない
銀行では、医療ローンにかかわらず即日の融資はできません。
目的別ローンだけでなく、フリーローンやカードローンも同様です。
ローンの申し込みを受けた銀行は、警察庁のデータベースにアクセスして「申込者が暴力団関係者ではないのか」を確認する義務があります。
この確認作業に1営業日以上の日数がかかるため、現在の銀行では即日融資に対応していません。
この作業は2018年の1月から始まったため、それまでは即日融資できていました。
過去に即日で銀行から借りた経験がある人ほど注意が必要です。
融資を受けるまでの医療費は自分で支払う
医療ローンは、審査に1週間以上の時間がかかるのが一般的です。
最悪の場合は2週間以上かかることも考えられます。
医療費の支払いまでに借りられれば問題ありませんが、間に合わないこともあるでしょう。
その場合、融資を受けるまでの治療費は自分の自己負担で支払う必要があります。
美容整形は医療ローンで支払うのがオススメ!まとめ
今回は、医療ローンの基礎知識について解説しました。
医療という名前ですが、「美容整形」に関係する治療であっても融資の対象になります。
アイプチ程度なら数万円以内で済むこともありますが、手術の内容によっては100万円を超えることもあるでしょう。
医療ローンのメリットを知り、ほかのローン商品も検討しながら最適な支払方法を考えていきましょう。