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退去費用が高額で払えない!どうしても払えない時の対策は?

退去費用がどうしても払えない時の対策は?
 

アパートやマンションに入居していた人が退去する場合、所定の「退去費用」が発生する可能性があります。

部屋の状態によっては高額になるため、「こんな大金は支払えない……」と悩んでしまう人もいるかもしれません。

今回は退去費用が高すぎる際の原因と対策を紹介します。

著者
森本 陽子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)・CFP認定者・ 貸金業取扱主任者。自身の経験や知識を活かし、複雑なお金の仕組みや知識をわかりやすく解説しておりツイッターでの有益な呟きにも注目。

退去費用とは

退去費用とは、賃貸物件から退去する際に必要になる費用のことです。

退去するときは物件を借りていた入居者の側が、借りた時の状態に原状回復させる義務があります。

実際の原状回復は管理会社がクリーニング業者を手配して行うものの、そのために必要になる費用の一部は入居者が金銭で負担します。

あくまでも入居者の故意や過失によって生じた損耗で適用されるため、普通に暮らしていて発生した「経年劣化」に対しては費用の請求義務はありません。

退去費用の相場はいくら?

退去にかかる費用は、入居時に支払った敷金から支払われます。敷金だけで済むのであれば支払う必要はなく、余れば返金が行われます。

もし敷金で足りなかった場合はいくらくらいになるのでしょうか?

以下の相場はリクルート住まいカンパニー「引越しに関する実態把握調査」の結果です。
あくまで一例としてご覧ください。

追加で支払った費用の平均額
ワンルーム 6万9,000円
1K 7万6,982円
1DK 9万1,033円
1LDK 12万6,656円
2K 9万1,722円
2DK 11万7,254円
2LDK 14万7,651円
3LDK 16万8,636円

引用元:リクルート住まいカンパニー(suumo)|引越しに関する実態把握調査

部屋の間取りや状態にもよりますが、10万円前後の退去費用が敷金に追加で必要になるケースが多いようです。

退去費用が高くなるケース

退去費用としてはカーペットや壁紙の張替え、クリーニング代が請求されます。
入居中の利用の仕方によっては高額になってしまうため、日頃からの使い方に注意しましょう。

どのような使い方をすると、退去費用が高くなるのでしょうか?代表的なケースを見てみましょう。

ペットを飼っている

ペットを飼っていた場合は室内の消臭が必要で、その分の費用が上乗せされます。

また、ペットがつけた傷に関しても自己負担です。イヌやネコを市区している場合は壁紙に爪痕がついていることが多く、全面張替えになる可能性が高いと思っておく方が良いでしょう。

室内でタバコを吸っている

部屋の中でタバコを吸っていた場合、壁などが煙の成分によって黄ばんでしまうことがあります。その場合は壁紙の張替えが必要です。

また、匂いもついているためクリーニング代が必要になり、必然的に退去費用は高額になります。

基本的に一部だけでなく全面張替えになるため、喫煙者は禁煙者よりも退去費用が高額になることは覚悟しておきましょう。

物をぶつけて傷がついている

タンスやソファなどの重い家具を移動したときにフローリングに傷がついた場合、退去費用が必要になります。
特にフローリングの張替えになった場合は高額になることに気を付けましょう。

引っ越し費用を節約しようとして業者を使わずに家具を移動させる際は、細心の注意が必要です。

ただし、単に家具の重みでへこんだだけであれば、場合は必ずしも入居者の負担にはなりません。

退去費用で払わなくてもいいものは?

ガイドラインに基づいた退去時に払わなくていいもの

国土交通省がまとめた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」には、払わなくていい費用が記載されています。

ガイドラインには法的強制力はないのですが、一般的な基準を示しているので退去時に役立つでしょう。

トラブルになったときの解決指針となるものですから、賃貸物件を利用する前に一読しておくことをおすすめします。

オーナー負担になる修繕費

経年劣化は貸主負担

「経年劣化」つまり、誰かが住んでも住まなくても関係なく劣化していくものは、オーナー(貸主)が原則として支払います。

経年劣化によって原状回復する場合の修繕費用はオーナーが支払います。

ただし、通常の生活で発生しないと考えられる破損や汚損は、借主が負担します。

借主負担になるケースと貸主負担になるケースを比較しておきましょう。

借主が支払う 貸主が支払う
飲み物などをこぼしてできたシミやカビ 家具を置いてできた凹み
雨の吹込みによるフローリングや畳の変色 経年劣化によるフローリングや畳の変色
タバコによる変色 冷蔵庫の裏の電気焼け
壁の結露を放置してできたシミやカビ 壁の日焼け
壁のくぎやネジ穴 壁の画鋲の穴
家具の移動等で破損した網戸 破損していない網戸の張替え
不注意による窓ガラスの破損 自然災害で破損した窓ガラス
風呂・トイレの水アカやカビ 風呂・トイレの消毒
ガスコンロや換気扇にこびりついた油汚れ エアコンの内部洗浄(タバコ臭がない場合)

注意しておきたいのは原状回復での特約が契約時に決められている場合です。

特別な内容を契約の際に取り決めているなら、ガイドラインとは異なる措置で対応する可能性もあります。

経年劣化以外に払わなくていいもの

賃貸物件では経年劣化、つまり年月が経って品質が下がるものに関してはまず貸主が負担するとされています。

経年劣化以外に「通常損耗」も、退去時に修繕費用を払う必要がありません。

床やカーペットにできる凹みは家具を置けば当然できるものですし、冷蔵庫やテレビの裏の壁の電気焼けも普通の生活でできてしまいます。

いずれも、無理な使用方法でなければ通常損耗となり、経年劣化と同様に払わなくていいものです。

ガイドラインでは、経年劣化と通常損耗はすでに賃料に含まれている考え方が基本としてあるので、追加で修繕費用を払わなくてもよい判断がなされています。

退去費用をバックレるとどうなる?

退去費用が思った以上に大きな額になったとしても、放置だけはやめましょう。

まず、支払わないといけない費用なのか、そうではないかは請求額の内訳を確認しましょう。

オーナーは請求する総額のみ渡すこともあるので、明細を出してもらいます。
明細書を元に、原状回復のための費用の詳細を確認しましょう。

退去費用の支払いが難しい場合は、大家に交渉してみます。

明細から大家が負担するのか借りた側が負担するのかわからない場合や、大家が退去費用の交渉に応じない場合は、専門家や弁護士への相談を行います。

下記の窓口が、契約や賃貸住宅での相談を受け付けています。

どんなに支払う費用に納得できなくても支払わずに逃げてはいけません。

退去費用を踏み倒そうとすると、連帯保証人への請求、法的措置による退去費用以上の慰謝料の請求などの事態に陥ってしまう可能性があります。

退去費用を払えない場合の流れ

もし退去費用を払えない場合、以下のような流れで管理会社から請求が行われます。

  • 管理会社・保証会社から連絡が入る
  • 連帯保証人に連絡が入る
  • 裁判に進む

    それぞれの流れについて、もう少し詳しく見てみましょう。

    管理会社・保証会社から連絡が入る

    退去費用の請求に応じない場合、まず管理会社から入居者に連絡が入ります。
    保証会社を利用しての入居の場合は保証会社から連絡が入ることもあります。

    電話で返済されていない旨の連絡を無視していると、次は書面での請求書が送付されます。

    退去費用が高くて支払えないと感じている場合、この段階で費用の相談を行うことが大切です。

    管理会社の対応次第ですが、支払期限の延長に応じてくれる可能性もあります。

    連帯保証人に連絡が入る

    保証会社なしで入居したケースでは、連帯保証人を選んでいるはずです。
    督促を無視していると、次は連帯保証人に連絡が入ります。

    請求を無視していると両親など連帯保証人になっている人に迷惑がかかることになります。そうなる前に自分で管理会社に連絡を入れましょう。

    裁判に進む可能性も

    最終的には裁判に発展することもあります。

    裁判になってから「退去費用が高くて支払えなかった……」と主張しても応じてくれません。

    どうしても支払えない場合の考え方・対策

    支払おうとしても、どうやっても支払えないほど高額になってしまうこともあるでしょう。その場合、どのような対策があるのでしょうか?

    支払いできないほど高額な退去費用を請求された場合の考え方、対策を解説します。

    支払いを拒否できないことは理解しておく

    まず理解しておきたいのは、退去費用を支払うこと自体は入居していた人間の義務であるということです。

    支払いそのものを拒否することはできないため、請求書を無視していると最悪の場合は訴訟になってしまいます。

    納得できないとしても踏み倒そうとはせず、きちんと理由を述べたうえで減額の交渉や期限の延長の交渉を行いましょう。

    国土交通省のガイドラインを確認してみる

    あまりに退去費用が高額だと感じた場合は、入居時の賃貸契約書を確認してみましょう。

    そこに記載されている退去時の条件に関しては、承諾した上で入居したと判断されます。
    たとえば「別途クリーニング代が必要」「退去時に一律〇万円請求」といった具合です。

    また、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」も確認してみましょう。契約書に記載されていない内容はガイドラインに沿って請求されます。

    そこで記載されている場合は支払いが必要です。

    ガイドラインにはさまざまな判断基準が記載されていますが、たとえば冷蔵庫裏の後部壁面の黒ずみは「電気ヤケ」と呼ばれており、これについては大家側の負担とされています。

    画鋲などで開けた小さな穴についても大家側の負担です。

    一方、タバコによる黄ばみや結露を放置したことによるカビは借主の負担とされています。

    契約書に特約があった場合は?

    入居時に交わした契約書をよく見直してみた時に「特約」という単語が見つかる場合があります。

    内容は契約ごとに異なりますが、入居者の原状回復義務の範囲を超えて費用を負担する旨が書かれていることがあります。

    契約時には宅地建物取引士の説明を聞いたうえで承諾し、必要書類にサインをしているはずです。

    つまり、ガイドラインでは大家側の負担になっていることでも、特約の内容次第では入居者負担になることがあるのです。

    入居後には変更できないため、面倒でも契約時に「退去時の情報」についてくまなく確認することが大切になります。

    消費者生活センターに相談する

    入居者に相談しても減額などの交渉を受け付けてもらえない場合、消費者生活センターの窓口に相談するという方法もあります。

    退去費用は支払いを避けることはできませんが、余計な金額まで支払う必要はありません。

    冒頭で紹介した退去費用の相場と比較してあまりにも高額な場合、不要な内容が請求されていることも考えられます。

    もし見積もりを出し直す依頼をしても対応してもらえない場合は、消費者生活センターに電話してみるのも1つの方法です。

    基本的に相談料は無料で、今後にどうすれば良いかについて的確にアドバイスしてもらえます。

    民事調停に申し込む

    消費生活センターでの相談でも、退去費用の値下げに応じてくれない場合は民事調停も選択肢に入ります。

    裁判官や専門職員が不動産業者と入居者の間に入り、問題解決のサポートをしてくれます。

    金融機関からお金を借りるという選択肢も

    請求された退去費用は高額だとしても内容に問題がなければ、何としても支払う必要があります。

    とはいえ、引越しした後も新生活で多額のお金が必要です。退去費用を支払えたとしても、そのあとの生活に支障があるかもしれません。

    どうしても支払えない場合、金融機関からお金を借りるという選択肢もあります。

    銀行のフリーローン・カードローン

    退去費用の支払期限まで猶予がある場合、銀行からお金を借りることを検討しましょう。

    選択肢になるのはフリーローンやカードローンです。いずれも利用使途自由なローンであり、退去費用の支払いに使えます。

    2つのローンは違いがいくつかありますが、主な違いは「借入が何回もできるか」「借入が1回きりか」という違いです。

    フリーローンで借り入れできるのは最初の1回のみです。あとは返済するだけで、追加で借りたい場合は再度申込と審査が必要になります。その代わり毎月確実に返済残高が減っていくため、計画的に完済させられます。

    カードローンは契約時に決めた利用限度額まで何度でも借り入れ可能です。限度額さえ残っていれば、お金に困ったときにすぐ借り入れできます。

    ただし、使い方によって一向に返済残高が減らなくなる可能性もあります。

    消費者金融のカードローン

    消費者金融でも銀行と同様のカードローンを取り扱っています。銀行と比較した主なメリットは以下のとおりです。

    • 最短即日融資が可能
    • 一定期間の無利息サービスがある

      銀行では原則として即日融資ができないため、最短即日でお金を借りられるのは大きなメリットといえます。

      一方で金利は銀行より高めというデメリットもあります。そこで利用したいのが「無利息サービス」です。

      多くの消費者金融では初回の利用に限り、無利息のサービスが受けられます。

      たとえば「契約の翌日から30日間は無利息」といった具合です。期間内に完済すれば利息の負担なしでお金を借りられます。

      その消費者金融の利用が初めてで、かつ期間内に完済できる少額を即日で借り入れたい場合、消費者金融のメリットを最大限に利用できるでしょう。

      退去費用を少しでも安くするための対策

      経年劣化したものは大家負担になる

      物件内の設備(流し台、壁紙、インターホンなど)それぞれ「耐用年数」が決まっています。

      同じ部屋に耐用年数以上住み続けた場合、退去時の費用は大家負担になるのが原則です。主な設備の耐用年数は以下のとおりです。

      耐用年数 設備
      5年 流し台
      6年 壁紙、カーペット、エアコン、インターホンなど
      8年 タンス、戸棚などの金属製以外の家具

      引用元:国土交通省|現状回復をめぐるトラブルとガイドライン|24P

      一般的に6年で壁紙やインターホン、エアコンなど目に見える主要な設備に関して大家負担になります。

      敷金ゼロの物件に入居しない

      入居時に敷金がかからない物件は魅力的に感じるものです。
      しかし、その分退去費用がかかることになる点には注意しましょう。

      敷金は大家に謝礼として支払う礼金と違い、退去費用のために預けておくお金です。

      退去費用が発生した場合は敷金の分は差し引かれるため、敷金が退去費用を上回る分だけ差額が返金されます。

      退去費用が敷金を上回った場合は不足分だけが請求されます。

      敷金を預けていない場合、発生した退去費用がそのまま請求されることになります。

      退去後の費用を少しでも抑えたい場合、入居時に敷金を支払う物件を選ぶことも検討しましょう。

      退去時に徹底的に掃除

      退去時の掃除は徹底的に行いましょう。汚れやほこりが溜まったままの場合、入居者の責任としてクリーニング代が上乗せされて請求されます。

      風呂のタイルのカビや排水溝のつまり、換気扇の油汚れなどは専門のクリーニング業者を呼ぶ必要があり、その分費用は高額になります。

      自分ができる範囲でクリーニングは徹底して行いましょう。

      入居時の傷は丁寧にチェック

      自分がつけた傷でないのに、退去費用を請求されてしまうことがあります。
      入居時や退去時に管理会社に立ち合いを求め、その場で傷やシミの確認を行いましょう。

      特に入居時は部屋のすみずみまで傷・シミ・汚れなどをチェックします。

      元からの傷だとしても、入居後は主張できなくなることが考えられます。
      入居前に双方で確認し、あとで請求されるリスクを下げましょう。

      まとめ

      今回は、退去費用が高すぎる場合の原因と対策を解説しました。

      退去費用は国土交通省のガイドラインに沿って支払うことになりますが、契約時の特約によって、本来は大家負担でも入居者側が負担することになります。

      入居する時点で、退去時の費用をイメージしておく必要があるでしょう。

      どうしても支払えそうにない場合は管理会社に相談するか、金融機関から借り入れることも検討が必要です。