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【国税専門官】公務員試験合格体験記と反省点(費用、時間、攻略ポイント、勉強方法)まとめ

私は平成18年の国税専門官採用試験に就職1浪で合格して、それから10年間働きました。当時は公務員の採用がしぼられて狭き門だったので、私レベルの人間が受かったのは超ラッキーでした。

何となく始めた公務員試験の勉強ではありましたが、ラッキー合格をつかみ取るために相当な労力と時間を費やして周囲に助けられ、何とか乗り切ることができました。

その時の勉強方法や1浪して分かった自分の反省点など全てお話しします。

FP監修者
森本 陽子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)・CFP認定者・ 貸金業取扱主任者。自身の経験や知識を活かし、複雑なお金の仕組みや知識をわかりやすく解説しておりツイッターでの有益な呟きにも注目。
このページの概要
  1. 国税専門官と他の公務員試験を同時受験
  2. 【準備編】国税専門官試験に必要なお金や時間は?
  3. 予備校&先輩から聞いた公務員試験攻略ポイント
  4. 国税専門官試験の勉強のやり方
  5. 【国税専門官浪人編】浪人時代の勉強
  6. 浪人して分かった「こうすればよかった」3選
  7. 【試験本番編】国税専門官合格ジンクスを使う
  8. 【国税専門官二次試験】圧迫面接の噂
  9. 国税専門官の試験で絶対やってはならないこと
  10. 【合否発表編】一番に親に電話報告
  11. 国税専門官合格までモチベーションの保ち方
  12. 国税専門官の仕事は大変?楽しい?
  13. 国税専門官試験のまとめ

国税専門官と他の公務員試験を同時受験

国税専門官とは国税局や税務署に勤務している大卒職員のことです。国税専門官を受験する人は通常、他の大卒公務員の試験を併願で受験します。私が受験したのはこのあたりの試験。

  • 国家Ⅰ種
  • 国家Ⅱ種
  • 地方上級(都道府県や政令指定都市)
  • 労働基準監督官
  • 国立大学法人等職員

日程がかぶらない限り受けられる試験は何でも受けたって感じです。

私は国税専門官の仕事内容も難易度も全く分かっていませんでしたが「何かかっこいいな」という理由だけで第一志望にしていました。試験の内容はどこも似たような内容なので第一志望に関わらずみんな「公務員試験」というくくりで同じ内容の勉強をします。

【準備編】国税専門官試験に必要なお金や時間は?

かかった費用

約40万円ぐらい

(内訳)

  • 予備校費用 約35万円(現役+浪人分)
  • その他 約5万円(交通費や参考書、模試、特別講習など)

平成18年当時、公務員試験は予備校に通うのが常識でした。大学に置いてあったパンフレットの中から比較的安かった小規模予備校に入りました。浪人時は大手予備校の浪人プラン?(通常より安いコース)に入り直してようやく合格。

地元に戻って就職したいという人も多いと思いますが、試験や官庁訪問の度に帰省する交通費も地味に大きいです。

合格までにかかった勉強期間

1年〜1年半

凝縮するとしっかり勉強したのはわずか半年強ぐらいだと思います。1浪したので途中離脱でアルバイトしていた期間も含めると足掛け2年かかった計算になります。バブル時代に採用された先輩は2週間しか勉強しなかったと聞いて驚愕だったので時代も関係するみたいです。

合格するために必要なもの

「予備校の下調べとお金と仲間」これさえ準備できれば、あとは気合で合格できると思います。予備校選びで合否に差が出るかどうかは私にも分かりませんが、

  • 料金
  • 自習室の環境や開放時間
  • 仲間が見つけやすいかどうか

このあたりを考慮するのもいいかと思います。ちゃんと公務員試験の勉強をするとかなりお金がかかります。(私はアルバイトで稼いで捻出しました)完全な独学なら安いのですが、頭のいい人じゃないと合格は難しい気がします。予備校ではなく大学がやっている公務員講座もわりと安価で受けられるようです。

公務員試験の勉強仲間は意外と大事

情報戦の部分も大きいのが公務員試験です。面接で何を聞かれたとか官庁訪問(国家Ⅱ種)の情報は、ネット記事やSNSではなかなか追えないと思います。 やっぱり苦楽を共にした仲間が教えてくれるリアルな情報が頼りになります。メンタル的にも大事な存在ですが、仲間がいないと合格できないわけではありません。

予備校&先輩から聞いた公務員試験攻略ポイント

①公務員試験はほとんど「暗記」

私が予備校で説明されたのは公務員試験がほぼ暗記だからとにかく暗記しなさいということ。公務員試験の範囲はすごく広いのです。絵画の説明やクラシック音楽から民法刑法などまでと、とにかく広い。

浅く広くではなく「深く広く」という大変厄介な公務員試験です。かなりの勉強量が必要です。ある程度勉強ができる人を想定していると思われます。

②実際の倍率はそんなに高くない

公務員試験の当時の倍率はどこも20〜30倍などカオスな状況でした。(私が合格した年の国税専門官試験は11倍ほどで比較的他の公務員より受かりやすい状況でした)でも公務員試験って無料で受けられるので全く勉強してない就活生が受けることも多いのです。

本気で勉強している人たちだけの実際の倍率は2〜3倍だと言われていました。とは言え高学歴な人たちが本気で勉強してくる中の2〜3倍なので、決して受かりやすいという意味ではありません。

③頑張ればどこかの公務員になれる

公務員になってみると周りには何年も勉強してようやく受かったという人が一定数います。確かに私と一緒に勉強していた人たちは現役又は浪人を経て大体どこかの公務員になっています。

とりあえずどこかの公務員になって、そのまま勉強を続けて第一希望の就職先へ公務員転職する人もいました。一度就職してしまえばほぼ終身雇用が約束されている公務員なので、2〜3年かけても惜しくはないかもしれません。

国税専門官試験の勉強のやり方

【試験1年前】スタート初期の勉強

試験1年前の勉強スタート期は講義を聞くだけでほとんど勉強していませんでした。講義を聞いたら家で復習や演習するなどしておけば良かったのですが、まだ試験まで1年もあると思ったらつい、のんびりしてしまいました。ここでちゃんと勉強するクセをつけておいたら現役で合格できたかも…と思います。

講義を聞く⇨演習(過去問を解く)
これを繰り返すことで理解が深まって記憶に定着すると思います。時間があるうちにじっくり内容を理解することが大事でした。

【試験まで半年】中期の勉強

試験半年前は重たい科目に集中して勉強を進めていました。過去問などの演習が中心です。

私が勉強をすすめていた科目
〈専門科目〉 経済や民法などの法律系 〈教養〉 難易度の高い数的推理など

国税専門官の試験はこれ以外にもたくさんの科目があるのですが、この時期大方の講義が終わりに向かっていたにも関わらずこの時点で私はかなり勉強が遅れていました。

国税専門官の模試の判定

この頃になると公務員試験の模試を受ける時期になっていました。私の判定はもちろんE判定。(1番受からない判定)それでもまだ時間があるから大丈夫…と余裕をかましていたのも大間違いでした。ちゃんと分析して自分の弱い科目などを把握するべきでした。

【試験直前】約3ヶ月間の猛勉強

試験2ヶ月前の4月になるとさすがに全く勉強が進んでいない自分に焦りを感じ始めようやく丸一日集中して勉強するようになりました。しかし「時すでに遅し」で、広範囲の勉強を2ヶ月でこなすのはさすがに無理でした。1年目は不合格だったので、2年目は3月頃から試験の日まで丸一日猛勉強しました。

直前3ヶ月の勉強時間

  • 6時〜8時 家で朝勉
  • 9時〜20時 予備校で自習
  • 21時〜23時 家で勉強

1日13時間ぐらい勉強したと思います。これをほぼ毎日続けました。寝る、食べる、風呂以外ほぼ勉強。途中で仲間としゃべったりして適度に休憩を挟みつつとにかく勉強しました。

勉強方法
直前期も基本的に過去問をひたすら解くという勉強方法でした。これ以外に時事問題や論文などただ暗記するだけの科目も多くあって、私はこれが苦手でした。

時事問題の参考書

時事問題はニュースや新聞が好きな人はあまり必要ないかもしれませんが、私のような社会に疎い人間には苦痛です。当時は「公務員試験速攻の時事」という参考書で勉強している人が多く私も試験会場に持ち込んで直前まで読みました。

【国税専門官浪人編】浪人時代の勉強

結局1年目は落ちてしまい、アルバイトに明け暮れているうちに大学卒業が近づき就職が決まっていない私は公務員試験に再挑戦。

予備校入り直したけどやっぱり現役が大事

浪人の予備校は迷いましたがもう一度別の予備校に入り直しました。直前対策や最新対策はやはり予備校が最適だからです。でも2年目の勉強は伸びている感が自分でも全くありませんでした。やはり何事も現役の時に集中してがんばるのがベストです。

頭のいい人と頭の悪い自分で努力しても埋められない差があるのだと実感しました。

浪人ならではの勉強方法と対策

私の場合、出題数の多い数的推理が全く理解できなくてかなり苦しみました。思い切って浪人時代は勉強をやめてわかる問題だけ確実に解けるようにして、他の科目に時間をさきました。点数はかなり下がり致命的なのでおすすめはしませんが、能力の限界ってあると思います。

浪人して分かった「こうすればよかった」3選

全ては私の勉強不足で頭が悪いこともかなり関係していますが、それ以上にやり方の悪さも原因でした。現役合格するにはそれなりにコツもあります。

①過去問プラス暗記に特化した勉強

公務員試験に関わらずほとんどの試験は過去問が命です。でも広範囲だからこそ、ただ過去問を解くだけでなくて予備校が出している暗記ペーパーなどもきちんとこなすべきでした。

勉強慣れしている人はゴロ合わせなどで上手に暗記していました。

②頭のいい友人や講師のアドバイスに従う

頭のいい友人を見つけて自分の勉強方法で足りない部分など具体的に指摘してもらうといいと思います。

私はとにかく勉強が苦手な上に大嫌いだったので、友人にアドバイスもらってもそれをこなせなかったり、暗記も追いつかなかったり悲惨な状況でしたが、そのおかげで合格できたと思います。

③講義を受けたらすぐに演習で着実に学ぶ

私は予備校で講義を聞きっぱなしでその後すぐに過去問を解いたりしませんでした。得意な科目、苦痛じゃない科目ばかり集中してとてもアンバランスな勉強方法でした。

国税専門官だけでなく公務員試験はとてつもなく試験範囲が広いので、全ての科目をカバーすることが大事です。基本的に「得点源」の科目は存在しないと思います。

でも合格するには運もある

言い訳がましいのですが、私の時代は本当に公務員が採用を減らしていてかなり狭き門でした。浪人した年は少し採用も増えたことでこんな私でも運良くほぼ最下位の順位で合格者名簿に載ることができました。

【試験本番編】国税専門官合格ジンクスを使う

私の場合、試験会場が駅から離れていました。ここでバスを使わずタクシーを使えば落ち着いて試験に臨めるという合格者談があったので私もお金がないのにタクシーに乗ったりしていましたが、特に合格には関係なかったと思います。

会場の雰囲気

会場には試験を受ける若者がたくさんいました。とにかく暗記した内容がこぼれないように頭の中はパンパンになっているので他の人のことは気にしていられません。

とにかく受験番号を書き間違えない。それだけは気をつけていました。待ち時間は時事問題の参考書「速攻の時事」を読みましたが緊張で頭に入りませんでした。

国税専門官の筆記は難しいけどラッキーも

浪人して合格した年の試験はラッキー問題に助けられました。苦手な数的推理は一番最後に解くようにしていたのですが、結局さっぱり分からなかったので択一で全部3番にマルをしといたらほとんど正解だったのです。

苦手な英文も、運良く京都に関する問題だったので京都に住んでいた私は雰囲気で解答することができました。

【国税専門官二次試験】圧迫面接の噂

一次試験に合格すると次は面接です。

当時の国税専門官は一次試験さえ通れば面接はわりと通りやすい傾向にありました。 圧迫面接との噂はありましたが実際はとても優しかったです。国税局に勤務しているちょっと偉い人たちが当日に面接官になります。

実際の面接で聞かれたこと

面接では事前に提出してある面接シートの内容中心に聞かれたと思います。志望動機やこれまでの仕事の経験などを書くような内容でした。

国税専門官の面接ウケする話題をチョイス

当時の面接シートで「最近気になった時事問題やニュースは?」みたいな質問がありました。私は当時、女性アナウンサーが未成年男性アイドルと飲酒して大問題になったスキャンダルについて記入しました。自分も公務員になったら公人であることを常に自覚し、プライベートでの行動も気を付けたいみたいな内容を書きました。

芸能スキャンダルを書くのはちょっとふざけているかなと思いましたが、これは結果として正解だったと思います。

国税専門官は倫理観高い人が好まれる

国税専門官になってみて気が付いたのですが公務員のよろしくないニュースって意外と多くて、民間よりもかなり高い倫理観が求められるのです。信号無視しないとか歩きタバコしない、泥酔しないなど公人である限り24時間節度ある行動が求められます。

その辺の意識がすでに高い受験生は面接官にも好まれるだろうなと後から実感しました。

今はどんな風に面接が行われているのか良く分かりませんが、無理して小難しい話題を知ったかぶりで話すより等身大で話せる内容が面接官には響くと思います。面接対策本も売られています。

国税専門官の試験で絶対やってはならないこと

二次試験は面接の他に身体検査などもあるのですが、その際の受験生同士の私語は禁止。目立つ行動は合否にも影響するということを試験監督が当日に話していました。

それにも関わらず、身体検査中に隣の受験生が私に話しかけてきてビックリしたけど無視もできず、無言であいづちだけ打っておきました。職員の人(身体検査する国税の医療系専門職の人だと思われる)がその時こちらチラッと見ていました。

後日、私に話しかけてきた隣の番号の受験生はやはり不合格になっていました。それが原因かは分からないですが、二次試験ではもちろん筆記の一次試験の段階から服装や言動など目立つ行動は控えるべきです。

【合否発表編】一番に親に電話報告

発表時間にネットに張り付いて見るのですが、浪人の末ようやく自分の番号を見たときはとても嬉しくて一番に父に電話しました。

当時現役公務員だった父が1番私を応援してくれていて、公務員になりなさいと言われたことは一度もありませんでしたが、あまり感情を出さない父がとても喜んでくれたことが嬉しかったです。

国税専門官合格までモチベーションの保ち方

国税専門官の試験は私の時代は最短半年で受かると言われていました。半年なら頑張れそうと思うかもしれませんが、半年間全力で勉強するのはとっても疲れます!

私の周りにいた賢い人たちは、月から土はしっかり勉強して、日曜日は完全に休む。そんな風にメリハリをつけて取り組む人が多かったと思います。1日の勉強スケジュールを立てている人もいました。勉強と休息と遊びのバランス、上手に息抜きすることが大事だと思います。

国税専門官の仕事は大変?楽しい?

国税専門官の仕事は楽ではないです(当たり前ですが)。税務調査の仕事も向き不向きが出る仕事ですし、楽しいと感じる人もいれば苦痛に思う人もいます。要するにどう感じるかは個人差があります。私自身もとても楽しい時期とそうではない時期がありました。

私は人間関係にはかなり恵まれていましたが悩む人もいます。構造改革などで人事に不満が出ることもあると思います。でもやはり大きな組織だけあって全てがきっちりしているし、公務員の身分も保証されています。何か自分に困ったことがあっても守られているという安心感もありました。(もちろん不法行為は守ってもらえません)

ただし、私のように「何か他の仕事もしてみたい」と言う人は公務員は副業禁止ですので潔く辞めましょう。

国税専門官試験のまとめ

国税専門官の試験はとにかく範囲が広いのでとても大変です。頭が良くない私にとっては人生で超苦戦の最難関試験でした。頑張れば誰でも絶対に受かる試験ではありません。

  • とにかく暗記と過去問
  • 一緒にがんばる仲間を見つける
  • ラッキーを味方にする
  • 受かるまで粘る

私レベルの人間がアドバイスするとしたらこのぐらいしかありませんが、本気の覚悟で勉強しないと受からないということはお伝えしたいと思います。合格後も簿記と税法の勉強が待っています。

職員時代に得た経験や人脈は今でも私の宝ですし、短い期間でも国税専門官になって良かったと思っています。興味のある方はぜひ挑戦してみてください。

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