FP1級などの難関試験に受かってる人は「2級ならそこそこの勉強で受かる」と思いがちでしょう。同じ2級でも年金アドバイザーは別格に難易度が高く、注意が必要な試験です。
2022年に初めて受験した私は、残念ながらあと8点で落ちました。あまりの難易度の高さに引いてます。とにかく難しい。
合格率と勉強時間だけで判断し、これなら余裕で受かると勘違いしたことが最大の敗因です。FP1級に匹敵するレベルかもしれません。
試験に合格する人は、勉強を始める前に正しい情報や難易度、勉強法をちゃんとおさえています。(ちなみに自分は前日まで3時間の試験ということも知らずに勉強していました)
年金アドバイザー2級はまだまだネット情報が足りないと感じています。不合格の私が語るのはおこがましいですが、実際に感じた難易度や勉強時間、試験当日の様子など知る限りの情報を残しておきますので、参考にしてもらえると幸いです。
これを読めば、少しだけ合格に近づくかもしれません。
年金アドバイザー2級とは
年金アドバイザー2級は銀行業務検定協会が実施している試験の1つです。4級、3級とありますが、2級が最上級で1級はありません。企業内講師ができるレベルの高さです。
金融機関で働く人など業界向け資格のため、出題内容は専門的で受験生は少なめ。基本的に社会人が受験するので年齢層も高めです。以下、概要をまとめました。
年金アドバイザー2級の概要
- 年1回、3月上旬に開催
- とてもマニアックな年金の試験
- 3時間の試験でオール記述式
- 受験者数は1000人超程度
- 100点満点中60点で合格(試験委員会にて最終決定)
- 合格率25%前後だが難易度はとても高い
受験費用はいくらかかる?
受験費用は以下の通り。すべて税込の金額になります。
受験料 | 6,600円(2023年より8,250 円に改定) |
---|---|
参考書 | 2,530円 |
過去問 | 2,970円 |
その他交通費
★トータル 12,100円+交通費
地方に住んでいる人は受験当日の交通費が高くなります。
いつから申込み?
申込み時期:例年1月上旬〜中旬(年1回)
※2023年3月試験の場合
1月6日(金)9:00 〜1月18日(水)23:30
2級のCBT方式はない
銀行業務検定協会が行う年金アドバイザー2級は記述式のみで、3級や4級のようなCBT方式はありません。
(CBTとは「Computer Based Testing」の略称で、マークシートなどの記入をすることなく、全てコンピュータを使って行う試験のことです。)
いきなり2級の受験も可能
年金アドバイザーは受験資格が不要なので誰でも2級を受験することができます。不合格でしたが、私もいきなり2級を受験しました。3級もかなり難しいので、知識がない人はまず3級で基礎をつけてから受験する方が無難でしょう。
年金アドバイザー2級のメリットは?
年金アドバイザー2級は社労士や税理士のような独占業務はないので、直接的なメリットは正直ないです。勤務先によっては資格手当がある場合も。間違いなく年金に詳しくなれるので、関連の業務をする上で良い助けになるでしょう。
就職でもある程度優位に立てます。難易度が高いので一目置かれることでしょう。ただしマイナー試験のため、面接相手が資格の存在や難易度を知らない可能性も高いです。
一般的には馴染みない資格ですが、窓口や顧客を抱える人にとっては信用の指標になります。合格する頃にはほぼ年金マニアになっていますので、自分や家族の年金についても役に立ちます。
ただし、なんとなく受験するには難易度が高すぎます。メリットを考えながら受験を決めてください。
年金アドバイザー2級の難易度
年金アドバイザー2級の難易度はかなり高いですが、合格率は25%前後と意外に高め。受験生たちのレベルが高いのでしょう。
私と同時期に受験した人たちは口をそろえて「ものすごく難しかった」「落ちた」「レベチ」と言っていました。社労士や税理士、司法書士など超難関資格を持つ人たちが話していたので、難易度の高さを物語っています。
自分の不合格は頭の悪さが原因だと思っていたので、周囲の声を聞いて少し安心しました。はじめから難易度の高さを知っていれば早くから勉強したのに…と思いましたが負け犬の遠吠えです。これから挑戦する人は早めに勉強をしてほしいです。
他の資格と比較した難易度
難易度を他の資格と比較してみました。私が実際に受験した資格や、知人らに聞いた感想も含みます。難易度の感覚は、その人の職業や持っている知識で変わります。以下は参考程度にとどめてください。
CFPと年金アドバイザー2級
CFPと年金アドバイザー2級は同じ程度か、どちらかと言えば年金アドバイザー2級の方が難しいです。CFP6課目同時合格の場合は難易度が上がるのでCFPの方が難しいです。CFP1課目なら年金アドバイザー2級の方が難しくなります。
勉強量は年金アドバイザー2級=CFP2〜3課目ぐらいです。
CFPの年金部分(ライフプランニング・リタイアメントプランニングの一部分)だけを比較すると、年金アドバイザー2級の方が難しいです。
社会保険労務士(社労士)と年金アドバイザー2級
年金アドバイザー2級よりも社労士の方が難しいです。社労士の方が範囲が広く勉強量が増えます。社労士の年金部分だけを比較すると、難易度はそんなに変わらないかもしれません。
現役社労士の方が「すごく難しかった」、社労士受験生も「これはレべチ」と言っていたので社労士レベルから見ても年金アドバイザー2級の難易度は高いようです。関連資格として両方受験する人も多いです。
簿記2級と年金アドバイザー2級
簿記2級よりも年金アドバイザー2級の方が難しいです。簿記は演習量が膨大なので、勉強期間はあまり変わらないかもしれません。簿記は演習さえ重ねれば合格できますが、年金アドバイザー2級は複雑で、簿記よりも頭を使います。
司法書士と年金アドバイザー2級
司法書士は年金アドバイザー2級とは比較できないほど難しいです。しかし知り合いの司法書士が「落ちたかも。難しかった」と言っていたので、足元には及ばないもののやはり年金アドバイザー2級のレベルは高いようです。
司法書士は税理士より難しいと言われる超難関試験なので、その先生が落ちた(かもしれない)ことには驚きました。
銀行業務検定協会の他試験(投資信託2級など)】
銀行業務検定協会の試験を多く受験してきた人の話によると、投資信託2級や税務2級など、他の2級試験に比べても年金アドバイザーだけはなぜか別格で難しいそうです。理由は分かりませんが、それを聞いて妙に安心しました。きっとそれだけ年金制度そのものが複雑なんですね。
年金アドバイザー2級の勉強時間
年金アドバイザー2級の勉強時間は、およそ3ヶ月は必要だと感じました。
元から知識がある人でも2ヶ月の確保をおすすめします。
私の場合は約3週間、平均1日3時間勉強しましたが全然足りませんでした。
過去問集はコンパクトな冊子ですが、難易度が高く見た目以上に時間がかかります。内容はこれほど緻密性が求められるのかと驚くほど細かいです。
それに記述式解答なので、択一試験よりどうしても勉強時間が増えます。
過去問演習以外に、法改正などの時事知識系を勉強する時間も必要。3月上旬が試験なので、12月頃から勉強することをおすすめします。
年金アドバイザー2級の過去問とテキスト(参考書)
年金アドバイザー2級専用の参考書や過去問は、選べるほどの選択肢がありません。大体の人が公式の書籍を使用すると思います。
参考書(テキスト)
年金アドバイザー2級専用の参考書はなく、公式テキストの3級で代用します。2級部分もしっかりカバーされています。
『公式テキスト年金アドバイザー3級 経済法令研究会編』2,530 円 (税込)
私にはちょっと難しかったため、公式テキストの他に手持ちのFP1級参考書(TAC出版)も併用しました。年金を1から勉強する人は、初心者にも分かりやすい年金解説本のようなものがあると良いでしょう。
いつもは参考書を読まず過去問だけで済ませることが多いのですが、これほど参考書に頼った試験は初めてです。過去問の解説を読んでも分からず、参考書2冊読んでも分からず、しょっちゅうネット検索迷子になっていました。参考書必須の試験です。
過去問
過去問は公式のもの一択です。市販されている過去問はおそらくこちらのみ。受験生は全員同じ過去問を使っているはずです。
『年金アドバイザー2級問題解説集 銀行業務検定協会編』2,970 円 (税込)
過去8回分の過去問が収録されています。解説は知識がある人向けに書かれていて、初心者には分かりにくいです。参考書の併読が必須です。
巻頭には必ず出題される改正法などの時事も収録されているので、1冊丸ごと完璧にすれば合格圏内に達します。
年金アドバイザー2級試験当日の様子
試験当日の様子は会場によっても異なると思いますが、私が現場で気になった点を説明しておきます。
他の試験が同時に行われる
受験生が少ないため、銀行業務検定試験の他試験(相続アドバイザーや外国為替など)も同じ教室で同日開催します。開始時刻は一緒ですが、試験によって終了時刻が異なります。試験監督官の「〇〇試験はあと残り◯分です」などの関係ないアナウンスが飛び交うのでちょっとややこしいです。
試験時間は足りない
試験は3時間もあるのに全然足りませんでした。最初は3時間も集中できるか心配でしたが、正直それどころではなかったです。
直前まで暗記しまくっていたので、忘れないうちに先に暗記部分を埋めました。残り時間で落ち着いて計算問題をやろうと思っていましたが、時間配分がどんどんずれこみ計算の見直しもほとんどできませんでした。後で見直せるように、自分の解答を問題冊子に書き込む時間も必要です。
3時間もあるから余るだろうという考えが誤算でした。慎重さとスピード、両方とも大切です。
年金アドバイザー2級の合格発表
年金のアドバイザー2級の合否は、2ヶ月後に届く封書を待つことになります。オンライン発表はありません。昔ながらの試験ですね。
合否が分かるのは5月上旬
合格発表は封書で4月末頃から順次発送されます。2022年受験の私の場合、5月9日に届きました。合否と自分の点数や平均点が大問ごとに書かれていて、解答例(解説なし)も同封されています。

解答速報はどこにもない
年金アドバイザー2級の解答速報はどこにもありません。他の試験のような翌日の自己採点は不可能です。
受験票には解答発表日が記載されてますが、記述式だからという謎の理由で2級の発表は無し。よくある個人や団体の独自公表もないようです。
自分の合否と点数は、約2ヶ月後に届く通知書を待たねばなりません。
私は自分で解答速報を作りTwitterで公表してみましたが、たくさん間違っていて色んな方にご指摘いただきました。どうしても結果前に自己採点したい場合は自分で調べ尽くすしかありません。
年金アドバイザー2級が不合格になる原因4つ
難易度は高いものの、今回私が不合格になった原因はハッキリしています。これから受験する人が同じ失敗をしないよう記しておきます。裏を返せば合格ポイントにもなりますので、これを読んで一発合格する人が増えると嬉しいです。
前提として自分のスペックを晒しておきます。
CFP…1課目につき2日〜3週間で合格
FP1級実技…2週間で合格
育児しながら短期間で合格できたと思います。年金アドバイザー2級はあと8点で不合格でした。敗因を振り返ります。
不合格の原因①勉強のスタートが遅い
不合格になる大きな原因のひとつはスタートが遅かったことです。
私は試験の3週間前に始めたのですが、前述したように全然間に合いませんでした。3週間でこなした勉強量は過去問5回分を4〜5回転。これでもギリギリですが、合格レベルには程遠いです。
3週間で合格できると書かれたネット情報も目にしましたが、元から知識がある人向けの話でしょう。3ヶ月、遅くても2ヶ月前には始めることをおすすめします。
過去問集は予想以上にハードですから、最初の1回転は想像の5倍ぐらいの時間を見積もってください。時間をかければ合格するわけではないですが、初回はとにかく時間がかかります。
いつもなら3回転もすれば理解できるのに、5回転しても私はよく分かりませんでした。次々に疑問がわき出る不思議な試験です。勉強スタートは早めが吉です。
不合格の原因②範囲を絞ってしまう
年金アドバイザー2級は、勉強範囲を絞ると致命的です。
公式過去問集には全8回分が収録されているので、できる限りすべて勉強するべきです。
私の場合、過去問は5回分のみの勉強で済ませました。結果、知識量が足りてなかったと痛感しています。
毎年似たような問題が出されますが、同じように見えて細かくパターンが違ったり、少しでも条件が変わると計算式が変わります。素人は何年分も追って勉強しないと基礎さえ身につかないです。
特に計算問題は最初の1問を間違えると連動して他の小問も失点します。たくさんのパターンを勉強して知識を深めないと得点につながりません。
経験上、CFPでは過去問回数を絞った方が高得点を出せました。しかし年金アドバイザー2級は、問題の性質上たくさん解く勉強法がおすすめです。
不合格の原因③参考書を読まない
年金アドバイザー2級は、参考書をしっかり丁寧に読まないと過去問が解けません。
なぜなら公式過去問には解説もありますが、初歩的な説明が省略されているからです。
ただでさえ複雑怪奇な2級なので、1問ずつ参考書で調べないとなぜこの解答なのかが理解できません。もう少し初心者向けに解説を充実させてくれるといいのですが。
特にいきなり2級を受験する人は、基礎の勉強が絶対必要です。
じっくり読む勉強法は時間も頭も使うので効率重視派には合いませんが、割り切るしかありません。
私は参考書のほんの一部分しか読んでいなかったため、勘違いしていた箇所がすごく多かったです。試験の後に気が付きました。
参考書や年金本で基礎を学んでおくことが点数の底上げにつながります。
不合格の原因④改正事項を勉強しない
年金の改正事項などその他部分は必ず勉強しておく必要があります。計算問題以外の部分です。大問の1や9、10あたりに該当するかと思います。
過去問の巻頭にポイントがまとめられています。ただの暗記なので、どこまで覚えればいいのか迷ってしまう部分です。
私は巻頭部分の暗記を忘れていて、ほぼ勉強せず試験を受けたところ見事にそこだけ平均点を大きく下回ってしまいました。
過去問の範囲外になるので、改正事項や時事をすべて暗記するには広すぎてキリがありません。暗記部分はある程度ポイントをしぼれば良いと合格者に教えてもらいました。数字や日付だけを入れる解答も多いので、巻頭に載っている部分だけでも確実に暗記すれば部分点を狙えます。
オール記述式なので、何でもいいから解答を埋めることも大切ですね。
年金アドバイザー2級の通信講座
年金アドバイザー2級の数少ない通信講座の紹介をしておきます。
難易度が高いため、どうしても独学で限界を感じた場合は通信講座もおすすめです。
LEC東京リーガルマインド
「年金アドバイザー2級合格パック」
https://www.lec-jp.com/nenkin/kouza/class2.html
講義回数 | 全8回・10月開始 |
---|---|
一般価格(10%税込) | 35,000円~ |
通信・通学(東京・大阪のみ)が選べます。
以下の教材が受講料に含まれます。
- LECオリジナル2級講義テキスト
- 講義図解資料集
- 答練問題・解説冊子
- 「2022年3月受験用 問題解説集」(銀行業務検定協会発行)※公式の過去問
誰もが知るLECの講座です。大手ならではの安心感がありますね。テキストと過去問も受講料に含まれていますし、難易度を考えるとこの価格は良心的だと思います。
経済法令研究会
「年金プロ養成コース」
https://www.khk.co.jp/course/course_detail.php?pid=52454
講義回数 | 全4回・5月開始 |
---|---|
一般価格(10%税込) | 17,600 円 (税込) |
B5判 4分冊のテキスト込み。
公式の経済法令研究会が行う講座。年金アドバイザー2級に対応していますが、あくまで「的確なアドバイスができる年金のプロを目指す」コース。合格を目指す専用ではなさそうですね。
安価な点と、日本FP協会のAFP・CFP認定者の継続教育研修講座に指定されているところが魅力的。過去問は別途購入する必要があります。
まとめ
年金アドバイザー2級はなかなか難易度が高い試験です。でも難しい分やりがいは感じます。自分の年金と照らし合わせて勉強できる楽しさもあります。
この記事では試験の色んな情報を挙げましたが、一言でまとめると公式の過去問を全てマスターすればかなり合格に近付けます。
かなりの努力が必要ですが、早めの勉強スタートで合格への道も見えると思います。ぜひ一緒に合格を目指しましょう!