お金に関する豆知識

子育てでお金がないのはどうしたらいい? 子どもにかかる教育費はいくら必要?

子育てをしていくにあたり、家庭ごとにさまざまな悩みがあります。
その中で大きなウェイトを占めるのが「お金」の悩みです。

子育て世代の2人に1人がお金に関する悩みを抱えていますが、多いのは「いくら必要になるのか分からない」というものです。

そこで今回は、子育てにかかるお金の目安について解説します。

FP監修者
森本 陽子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)CFP認定者。自身の経験や知識を活かし、複雑なお金の仕組みや知識をわかりやすく解説しておりツイッターでの有益な呟きにも注目。

子育て世代の2人に1人は不安を感じている

NPO法人 子育て学協会が実施した「幼児期の子育てに関する悩み」アンケート調査によれば、育児不安のトップ3として挙がったのは以下の3つでした。

  • 「いろいろな心配事がある(58.6%)」
  • 「育児ノイローゼに共感できる(48.9%)」
  • 「子育てに自信が持てない(48.4%)」

    もう1つ、ミキハウスが実施したアンケート「子育てに関する悩み調査」によれば、子育てに悩みを持つ家庭の心配事で多かったのが以下の3つです。

    • お金に関する不安をもつ人=44.8%
    • 家事に関する不安をもつ人=38.3%
    • 配偶者との関係に不安をもつ人=21.3%

    引用元:ミキハウス|出産準備サイト

      いずれのアンケートでも、誰もが何らかの育児に関する悩みを抱えていることが分かります。

      中でもミキハウスの調査結果から、2人に1人くらいの人が「お金」に関する悩みを持っていることが明らかになっています。

      不安の理由の多くは「教育資金」「収入」

      ソニー生命保険株式会社が実施した「子供の教育資金に関する調査2020」にて、子どもの教育資金について「どの程度不安を感じるか」という調査項目があります。

      それによると、不安に感じる人・感じない人の割合は以下のとおりです。

      • 不安を感じる人=70.6%
      • 非常に不安を感じる人=25.2%
      • やや不安を感じる=45.4%
      • あまり不安を感じない=24.2%
      • 全く不安を感じない=5.2%

        あまり不安を感じない、全く不安を感じない人に比べ、何らかの不安を抱えている人の割合が非常に多いのが特徴です。

        また、「子どもの教育資金に不安を感じる理由」についての調査結果は以下のようになりました。

        • 教育資金がどのくらい必要になるか分からない=56.8%
        • 収入の維持や増加に自信がない=37.4%
        • 収入が不安定=23.1%
        • 社会保険料の負担増=22.9%
        • 貯蓄が苦手=21.7%

          アンケートに回答した半分以上の人が「教育資金がどのくらい必要になるのか分からない」という心配を抱いていることが分かります。

          子育ては最低でも18~20年、長い人は22年以上にわたります。最後までお金を切らさずに走りきるためには、「いくらかかるのか」を把握したうえで、お金を確保する対策が欠かせません。

          子どもを育てるのにかかるお金

          それでは、具体的に子育てには「どれくらいお金」がかかるのでしょうか?
          以下の3つに分けて解説します。

          1. 出産前後でかかる費用
          2. 幼稚園から高校までにかかる費用
          3. 大学に進学する場合の費用

            1.出産前後でかかる費用

            子どもを授かったとき、まず頭をよぎるのは「出産にかかるお金」ではないでしょうか。

            実は、出産そのものはさほどお金がかかりません。
            後述する「出産育児一時金」など、健康保険からの補助を受けることができるためです。

            一方で、その前後にかかるお金の方がかかります。

            妊婦健診では自治体からの補助があるため1回あたり数千円で済ませることが可能です。
            しかし、「切迫流産」「切迫早産」になった場合には、大きな費用がかかる可能性があります。

            出産の直後も、お金が大量に必要になるタイミングです。

            ベビーカーやチャイルドシートは、病院から自宅へ車で連れて帰る場合には必須です。
            値段はピンキリですが、各1万円~3万円は覚悟しておく必要があります。

            そのほかにもミルクにおむつ、赤ちゃん用の服や寝間着など、育児のために必要なグッズは数多くあります。

            母親の入院の際に病院から必要な持ち物を指定される場合、出産前に揃えておくことが必須です。

            一時的に出費が増大するため、妊娠が発覚したら必要なものにかかるお金だけは確保する必要があります。

            出産費用は「出産育児一時金」でカバーされる

            出産に関する費用は、健康保険や医療保険の対象ではありません。
            そのため、50万円前後かかるのが一般的です。

            とはいえ、健康保険から出産一時金が42万円支給されるため、実際の負担は10万円程度で収まります。

            ただし、大部屋以外の「個室」などをチョイスした場合、差額ベッド代金が自己負担になる点に注意が必要です。

            病院の規模や種類によっても出産費用は変わるため、出産希望の病院でかかる費用をあらかじめ聞いておくようにしましょう。

            なお、帝王切開などの医療行為については保険適用です。民間の医療保険も適用されるため、出産前に手続きを忘れずに行いましょう。

            2.幼稚園から高校までにかかる費用

            文部科学省が発表した「平成30年度 子供の学習費調査」によれば、幼稚園から高校までの「1年間の学習費用総額」の平均は以下のようになりました。

            • 公立幼稚園 22万3,647円
            • 私立幼稚園 52万7,916円
            • 公立小学校 32万1,281円
            • 私立小学校 159万8,691円
            • 公立中学校 48万8,397円
            • 私立中学校 140万6,433円
            • 公立高等学校 45万7,380円
            • 私立高等学校 96万9,911円

              高校まですべて公立で通った場合でも約540万円、幼稚園から高校まで全て私立に通った場合は約1,830万円ものお金がかかります。

              中学までは公立に通わせる人が大半でしょうが、高校は私立に通う可能性もあります。
              1年の学費が公立の約2倍かかることは知ってきましょう。

              幼稚園から高校卒業までの学習費総額

              幼稚園から高校まではできるだけ普段の生活費から工面して大学入学時に備えて教育費を貯めておこうと考える人が多いと思いますが、進学の選択肢によっては高校まででも多額の教育費が必要です。

              (参考)文部科学省「平成30年度学校基本統計(学校基本調査報告書)」より

              文部科学省の調査によると、幼稚園から高校までの学習費総額費用は

              • すべて公立だった場合は541万円
              • すべて私立だった場合は1830万円

                となっています。
                公立と私立では実に1300万円もの差があります。

                親自身が私立に通っていた場合はわが子にも同じ水準で考えがちですが、家計の状況や子どもの数によっては厳しい面もあるため進学には柔軟に対応する考えも必要です。

                3.大学に進学する場合の費用

                大学まで進学させる場合は、いくらの教育費用がかかるのでしょうか。

                日本政策金融公庫が発表した「教育費負担も実態調査結果」で、その内訳が発表されています。

                大学でかかる費用は、大きく【入学費用】【在学費用】に分けられます。

                入学費用の平均は以下のとおりです。

                • 私立短大 66.9万円
                • 国公立大学 71.4万円
                • 私立大学文系 86.6万円
                • 私立大学理系 84.5万円

                  一方、年間の在学費用の平均は以下の通りとなりました。

                  • 私立短大 147.8万円
                  • 国公立大学 107万円
                  • 私立大学文系 157.6万円
                  • 私立大学理系 184.3万円

                    国公立大学に通う場合で、4年間に約500万円の費用がかかることになります。

                    大学でも国公立か私立かで教育費の差は広がります。

                    日本政策金融公庫の令和元年度「教育費負担の実態調査結果」によると大学4年間にかかる子ども1人当たりの教育費用(入在学費用)は下記のような結果になっています。

                    • 国公立は499万円
                    • 私立理系は822万円

                      (参考)日本政策金融公庫の令和元年度「教育費負担の実態調査結果」データより筆者作製

                      この金額は入学費用を含む学在費用の数字なので一人暮らしの生活費などは含まれません。また一般的な私大理系であればこの程度の金額で済みますが、医学部や歯学部を選択すればその費用は桁違いになってきます。

                      一人暮らしなら4年で400万円の仕送り

                      日本政策金融公庫の調査によると、一人暮らしの学生に対する仕送り金額は年間平均102万円。

                      ある程度は月々の収入でまかなうとしても、4年間で400万円前後の金額を仕送りに使います。

                      日本学生支援機構の学生生活調査結果によると、実家から離れて生活する学生は学寮も含めて私立大学35%、国立68%、公立60%となっています。

                      特に地方に在住している場合は一人暮らしの可能性が高くなるので仕送り費用も考えなければなりません。

                      受験費用の準備や浪人の費用も念頭に

                      一般的には大学在学中が一番教育費の負担が大きくなりますが、高3の受験費用準備も必要です。塾代のほかに受験料の出費が大きくなります。

                      受験費用については推薦入学など受験校が1校であれば安く済みます。

                      しかし、私立大学等を何校も受験すれば、あっというまに数十万円がかかってしまいます。
                      高3の頃にはまとまった金額になるよう準備を進めましょう。

                      浪人した場合は予備校通いと2年目の受験費用でさらに負担増となります。

                      文部科学省のデータによると大学進学する人の中で浪人割合は5人に1人。
                      決して他人事ではありません。

                      浪人生活1年で100万円近い追加費用を覚悟しましょう。

                      大学まで行かせてあげるためにできること

                      今まで紹介したように、出産・育児・義務教育・高校・大学と、子育てにかかるお金は膨大です。30代や40代の夫婦がポンと用意できる金額ではありません。

                      そこで、子供ができた時から貯蓄をはじめ、特に費用がかかる高校や大学の学費を用意しておくことが大事になります。

                      具体的なやり方のヒントを紹介します。

                      1. 0歳から貯金を始める
                      2. 保険と教育費の両面で貯蓄を考える
                      3. 余裕があれば投資で将来に備える

                      1.0歳から貯金を始める

                      大学の入学費用と在学費用を合わせると、国公立大学に進学したとしても4年間で約500万円がかかります。

                      いきなりお金を用意することは難しいでしょう。

                      子どもに奨学金を借りてもらうこともできますが、できれば親の世代が貯めておくことを考えたいものです。

                      できるだけ多くの貯金をするためには「生まれた時から貯蓄を始める」ことを考えましょう。

                      中でも有効に使えるのは「児童手当」です。

                      3歳までは月15,000円、3歳から15歳までは毎月1万円分の児童手当が支給されます。全額を貯金すると198万円にもなるため、高校や大学の学費として重宝するでしょう。

                      2.保険と教育費の両面で貯蓄を考える

                      198万円の児童手当をそのまま貯金しておくのでも良いですが、学資保険を利用する手もあります。

                      学資保険に申し込めば毎月引き落としで積み立てが行われ、満期の時は満期金を受け取ることができます。

                      プランによっては、入学などの節目に「祝い金」をもらうことも可能です。

                      最終的に受け取れるお金(返戻率)は掛け金の100~105%程度が一般的です。
                      預金よりは多くなりますが、そこまで大きくは増えません。

                      メリットはお金を増やすことよりも、「親が亡くなってしまった場合は支払いが免除」される点です。その場合でも満期には予定通りの金額のお金が受け取れます。

                      ただし、途中で解約すると元本割れを起こすことがあります。

                      特約をたくさん付けることでも返戻率が下がり、受け取れる金額が支払った金額を下回る可能性がある点は知っておきましょう。

                      3.余裕があれば「投資」で将来に備える

                      学資保険があれば、親の死亡という万が一に備えながら、預金よりも効率的にお金を受け取れます。
                      一方で、貯金と比べて大幅に資産が増えることはありません。

                      資金に余裕があれば、「投資」で教育資金を増やすことも検討すると良いでしょう。

                      「ジュニアNISA」で子ども名義の口座を作って投資すれば、毎年80万円を上限に、株式や投資信託から得られる配当金や分配金が非課税になります。

                      非課税期間を終了しても、一定の金額までは20歳まで非課税で保有することが可能です。

                      通常、投資をすると20.315%の税金がかかります。ジュニアNISAを使うことで非課税になるため、効率的な投資でお金を増やすことができます。

                      投資のリターンの目安

                      世界中の株式や債券に分散投資した場合、1年のリターンは平均で5~7%と言われています。

                      1年のリターンが6%と仮定した場合、毎月1万円を10年間投資すると皮算用ではありますが10年で投資金額120万円、リターンは約163万円になる計算です。

                      期間が長くなるほど、リターンの金額は大きくなりやすいため、できるだけ早く始めることが大切になります。

                      ただし、「元本が保証されていない」点は注意が必要です。リーマンショックのような暴落で、子どもが成人を迎える直前に投資したお金が半分になる可能性もあります。

                      あくまで貯金と学資保険をメインとし、余裕があった時に検討すると良いでしょう。

                      奨学金などの支援制度を活用する

                      奨学金などの支援が昔に比べとても充実しています。
                      あらかじめ制度についてある程度学んでおきましょう。

                      上手に利用すれば経済的理由で選択肢をあきらめなければならない場面も減ってきます。

                      中間層が受けられる奨学金も多数あるので情報収集を怠らないことが大切です。

                      高等教育の修学支援新制度始まる

                      2020年4月に奨学金の新たな制度「高等教育の修学支援新制度」が始まりました。

                      住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯を対象に、大学・短大・高等専門学校、専門学校等の授業料と入学金が免除または減額されます。

                      私立高校授業料実質無償化

                      2020年4月からは高等学校等就学支援金(返還不要の授業料支援)の制度改正で、私立高校等に通う生徒への支援が手厚くなります。

                      年収590万円未満(目安)世帯の支援額の上限額が大幅に上がります。

                      自治体や大学独自、民間団体の奨学金も充実

                      日本学生支援機構の調査によると、全国で奨学金事業を実施している団体は5028団体、制度数は11204制度に上ります(平成28年度)。

                      いざという時は奨学金に頼るという選択肢も可能です。

                      日本学生支援機構の奨学金と国の教育ローンが併用できるのはもちろん、地方自治体や大学が独自で行っている奨学金制度もあります。

                      一般的に給付型や無利子の奨学金は成績優秀などの条件が厳しく、有利子の貸与型は比較的条件がゆるくなります。

                      国の教育ローン

                      収入の条件や上限金額はありますが、日本政策金融公庫が行う国の教育ローン(教育一般貸付)は比較的低金利で借入れすることができます。

                      給付型や無利子の奨学金が受けられない場合は国の教育ローンも検討してみましょう。

                      • 日本学生支援機構の奨学金と併用可能
                      • 上限金額は350万円
                      • 固定金利年1.66%(2020年3月現在)
                      • 返済期間15年

                        となっています。

                        形としては奨学金は子ども自身が将来返済することになりますが、教育ローンは親が返済することになります。

                        まとめ

                        今回は、子育てにかかるお金の目安について解説しました。

                        出産費用だけであれば出産育児一時金などの補助金があるため、さほど心配はいりません。問題はその後の養育費用と教育費です。

                        大学の費用を貯めるためには、できるだけ早いうちから貯蓄することが重要になります。

                        児童手当を毎日の生活費に使わないように気を付けて下さい。

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