「治療費が高すぎて愛犬を病院に連れていけない…」
このように悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
治療や手術を受けさせようにも、あまりに手術費用が高額では利用することはできないでしょう。
公的保険の適用がないことで、想像を超えた費用を請求されることもあります。
手術を受けた後に到底支払えないような費用を請求された場合、どうすればいいのでしょうか?
今回は、犬の手術費用が払えない場合の対策について解説します。
犬の手術費用の相場
ペットの治療費は、動物病院ごとに値段設定が異なる場合があります。
愛犬が病気になったとはいっても、どうしても値段の差は気になってしまうことでしょう。
日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査及び意識調査 調査結果(平成27年)」では、平成26年に実施した実態調査に加え、全国1,365名の小動物臨床獣医師と3,096名の一般飼育者の回答を基に作成したデータを公表しています。
犬の治療・手術のうち、代表的な処置にかかる金額は以下のとおりです。
治療内容 | 治療費 |
---|---|
創傷処置、外耳処置、局所麻酔 | 1,000円~2,000円 |
全身麻酔 | 5,000円~10,000円 |
鎮静 | 3,000~7,500円 |
尿道切開、子宮腫瘍 | 30,000円~40,000円 |
子宮腫瘍 | 30,000円~40,000円 |
帝王切開 | 30,000円~75,000円 |
骨折 | 30,000円~100,000円 |
卵巣子宮切除 | 25,000円~40,000円 |
椎間板ヘルニア手術 | 50,000円~100,000円 |
また、「これまでの治療費の最大額」も公表されています。
それによれば平均は58,993円で、30万円以上かかったケースもありました。
引用元:家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査|これまでの治療費の最大額
ペット保険に未加入なら全額が自己負担
人間の病気の治療費は健康保険・国民健康保険の存在によって自己負担が1~3割になります。
しかし、ペットに関する手術・治療では公的な保険は適用されません。
全額が自己負担になるため、分かってはいても初めて請求書を見て驚いた人も多いはずです。
民間のペット保険に入っていない場合、よほどお金に余裕がない限りは老後の資金や子どもの教育資金を取り崩して使うしかありません。
手術費用が払えないとどうなる?
病院から督促がある
犬の手術費用などを支払うことができない場合、動物病院などから督促を受けることになります。
支払い関係で一度トラブルが起きると手術後に入院させてあげることが難しく、最悪の場合は退院・転院を促されて犬の健康に悪影響を与えることにもなりかねません。
手術の費用は獣医が手術をした時点で支払う義務が発生します。
支払うまでは永遠に督促を受けることは知っておきましょう。
治療前にお金がないことが分かれば治療はできない
当たり前のことですが、治療費が払えないことが事前に分かっている場合は、手術を受けることができません。
動物病院では公的保険は効かず、飼い主側が費用を負担できない場合は、病院側が損失を被ることになるためです。
治療後に分かった場合は訴訟になる
「治療費がないことがバレたら・・・」と悩んでしまって、お金がないことを黙っておきたくなることがあるかもしれません。
しかし、この考えは絶対にNGです。
最悪の場合は警察に届けられてしまうほか、裁判所に訴えられて財産が差し押さえられてしまうことがあります。
差し押さえられるのは不動産のほか、毎月の給与なども対象です。
給与の差し押さえが行われる場合には会社に連絡が入るため、「あの人はペットの手術費用を払えない人だ」ということが会社中に知られてしまいます。
会社内での印象が悪くなるばかりか、社会的な地位を失うことにもつながります。
給与は最大で1/4が差し押さえられるため、会社内に知られなくてもその後の生活に支障をきたすことは間違いないでしょう。
もちろん、その病院で治療を受けることは二度とできなくなります。
犬の手術費用が払えない場合の対処法
犬の治療費が払えないとしても、黙って見過ごすことはできるはずがありません。
どうしてもお金が工面できない場合、どのような対処法があるのでしょうか。
分割払いの相談
お金がなくて治療費が用意できない場合、正直に動物病院に相談することが大切です。
病院の応対はさまざまで、特に相談に乗ってもらえず「ほかをあたってください」と言われてしまうこともあるかもしれません。
「冷たい病院」ではなく、それが当たり前と思っておくほうが良いでしょう。
一方、中には分割払いに応じてくれる病院もあります。
最初に頭金としてまとまった金額を払っておけば、残りを分割払いにしてくれることもあるようです。
ペットローンを利用する
ペットの購入・治療費などに使用できるローンです。ペットローンであれば、高額なペットの手術代金も借りられます。
お金がないと相談した動物病院が提携しているローンを勧めてくれることもあるでしょう。
プラン次第ではカードローン・フリーローンよりも金利が低くなる場合があります。
ただし、ペットローンを扱っている金融機関は多くはありません。
イオン銀行やスルガ銀行など一部に限られるため、比較検討しにくい点はデメリットです。
人にお金を借りる
もし懇意にしている動物病院が分割払いに応じてくれない場合、家族や友人からお金を借りることも検討しましょう。
お願いできる相手がいれば、時間をかけずに費用を集めることができます。
「一刻も早く治療を受けさせたい!でも費用が足りない…」といったときに有効です。
利息を払わずに借りられるのであれば、返済総額を安く抑えることにもつながります。
しかし、もし返済できない場合は信用を失います。
以下のようなことを話し合っておくほうが良いでしょう。
- 完済の目途
- 毎月の返済回数
最初に話しておかないと、「聞いていない!」とトラブルになることも考えられます。
「金の切れ目は縁の切れ目」ともいいます。
それまで築いた人間関係にヒビが入らないように、絶対に完済できることを確信してから相談を持ち掛けましょう。
可能なら手作りでも借用証書を作っておき、相手に渡しておくとベターです。
クレジットカードで支払う
単純に分割払いするだけでなく、もう1つ分割にする方法として「クレジットカード」もあります。
クレジットカードに対応している動物病院であれば、カードの機能で分割払いが可能です。
わざわざ動物病院に相談する必要はありません。
デメリットは、3回以上の分割には手数料(利息)が発生することです。
利息は借り入れる金額が大きいほど、返済期間が長いほど高くなる性質があります。
あまりに分割回数を多くすると返済総額が大きくなっていくため、完済が大変になります。
そのほか、予防接種ではクレジットカードは使えないなど一定の条件が付されていることもある点に注意が必要です。
カードローンを使う
お金を貸してくれる知り合いが見つからず、病院も分割に応じてくれない。
このような時に利用できるのが「カードローン」です。
提供元によって「銀行カードローン」「消費者金融カードローン」に分かれています。
それぞれにメリットがあるため、状況に応じて申し込む金融機関を切り替えることになります。
銀行カードローン
都市銀行やネット銀行、地方銀行など、数多くの銀行で独自のカードローンを扱っています。
メリットは消費者金融と比べたときの「金利の低さ」です。
消費者金融カードローンとの金利差を比較してみましょう。
金融期間 | 金融機関名 | 金利(実質年率) |
---|---|---|
銀行 | 楽天銀行 | 年1.9%~14.5% |
イオン銀行 | 3.8%~11.8% | |
auじぶん銀行 | 1.48%~17.5% | |
消費者金融 | プロミス | 4.5%~17.8% |
アイフル | 3.0%~18.0% | |
アコム | 3.0%~18.0% |
消費者金融カードローンがおおむね年3.0~18.0%に対し、銀行は(銀行ごとの差異が大きいものの)年2.0~15.0%程度が多くなっています。
もう1つのメリットは、カードをそのまま使える点です。
消費者金融では、カードレス取引も増えています。
カードを使った取引では銀行のキャッシュカードとは別のカードを持つ必要があります。
銀行であれば、すでに持っているキャッシュカードを使って借り入れが可能です。
一方で、即日融資できないというデメリットもあります。
銀行がローンの申し込みを受けた場合、警察庁のデータベースにアクセスして「反社会的勢力に関係していないか」の照会義務が発生します。
この作業は1日では終わらないため、銀行では即日融資ができなくなっています。
消費者金融カードローン
消費者金融は「アコム」「レイク」など、銀行の預金業務を持たない金融機関のことです。
カードローンの金利は銀行よりも高めに設定されているのは紹介したとおりですが、だからといって「消費者金融は銀行より絶対に返済総額が高い」と決まったわけではありません。
まず「融資のスピード」は消費者金融が優れています。
消費者金融の融資は最短で1時間、審査時間に限ってみれば最短30分で完了します。その日のうちに融資を受けることも可能です。
また、銀行にはないサービスとして「無利息サービス」を受けることができます。
無利息サービスの内容は消費者金融によって異なりますが、代表的なサービスは「契約の翌日から30日間は無利息」というものです。
契約してから借り入れをしなくても無利息期間のカウントは進んでしまうため、契約後すぐに借入れる必要があののがネックです。
「初回借り入れの翌日から30日」という条件なら契約後にすぐ借りなくても自分が好きなタイミングで借りて、30日フルで無利息期間を利用可能です。
ただし、誰でも使えるわけではありません。
例えば「アイフル」の場合、以下の2つの条件をクリアする必要があります。
- アイフルをはじめてご利用される方
- 無担保キャッシングローン※をご利用される方対象商品:キャッシングローン、SuLaLi、ファーストプレミアムカードローン
無利息期間のサービスや条件は消費者金融ごとに異なるため、詳しくは各消費者金融のwebサイトで確認してください。
フリーローンを使う
フリーローンは銀行が提供する使途自由なローンで、カードローンとの違いは「追加融資ができるかどうか」という点です。
カードローンは契約時に設定される融資限度額に達するまで、何度でも追加で借り入れることができます。
一方のフリーローンには、そのような機能がありません。一度借りると、あとは返済していくだけです。
返済計画が立てやすいため、返済できない金額まで膨らんでしまう心配はないでしょう。
まとまった金額の融資を受けることで、金利がカードローンよりも低く設定されることが多いのも特徴です。
犬の手術費用を払えなくなる前に準備できること
ペット保険に加入する
急な手術が必要になることを見越して、ペット保険に加入しておくことが大切です。
ペット保険は月々の掛け金を支払う代わり、治療費の一部を補てんしてくれます。
ペットに関する治療には公的な保険が適用されないため、民間保険の重要性は相対的に高くなります。
最安で1,000円を下回る商品もありますが、犬が高齢になるほど保険料は上がります。ペットが健康で若いうちから探すことが大切です。
動物病院ごとの料金を比較しておく
普段から動物病院ごとの料金を比較しておくことも大切です。
同じ治療でも値段設定は病院ごとに大きく異なります。
友人や家族から「あそこは高い」「あそこは安い」と評判を聞くこともあるかもしれませんが、正しいとは限りません。自分の目で確かめてください。
具体的な金額を比較して、万が一の際に利用する動物病院を決めておきましょう。
もし一刻を争うような場合でも、動物病院を決めておけばスムーズに運び込めます。
日本実験動物医学会とは?
日本実験動物医学会は、日本において実験動物を用いた医学研究の進展と発展を目的として設立された学術団体です。
主に、実験動物の健康管理や飼育管理、実験プロトコルの策定、動物の福祉の確保、倫理的な観点からの議論などを行い、実験動物を用いた研究に関する情報交換や教育普及に努めています。
また、同会は、動物実験に関する倫理的な考え方や、研究者や飼育員のための教育プログラムの提供、法律や規制の整備などにも取り組んでいます。
さらに、国内外の学会や団体との交流を通じて、最新の技術や知識の習得、研究成果の発表や共有を行っています。