生活保護

生活保護を受ける時に持ってはいけないもの・大丈夫なもの一覧

 

生活保護者の生活について、どのようなイメージをお持ちですか?

「生活に必要な最低限のもの以外は、何も持ってはいけないのでは…?」

このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

実際、生活保護者は持って良いものとダメなものが存在します。

そこで今回は、生活保護受給者が「持っていはいけないもの」「持っていても良いもの」に分けて解説していきます。

監修者
田中 與志彦
元自治体職員として福祉部局で生活保護ケースワーカーや、環境部局で地球温暖化対策実行計画・環境マネジメントシステム策定などに従事。 現在は行政経験を活かしての記事・コラム執筆や、故郷である京都府宇治市の地球温暖化対策推進パートナーシップ会議のメンバーとして、小水力発電の普及促進や環境保全活動を行っています。

生活困窮だけでない 4つの生活保護受給要件

生活保護は生活に困窮していれば誰でも受給できるわけではなく、受給条件が定められています。

以下の条件に全て当てはまる世帯であれば、生活保護を受けることが可能です。

  • 世帯収入が最低生活費を下回っている
  • 預貯金・保険・土地・住宅など活用できる財産がない
  • 扶養に入れてくれる家族・親族がいない
  • 怪我や病気などの理由があって働かない

ここで言う「収入」とは、働いて得た収入だけのことを言うのではありません。

車や家などの資産を売って得た収入や保険を解約して得た解約返戻金、退職金など、世帯が入手したあらゆる収入が対象です。

売却できる財産(不動産・クルマなど)がある場合は受給できない

売却できる不動産や車などを含む財産がある場合、原則として売却を促されます。

生活保護の申請者が住んでいない住宅の場合、すぐに換金できる財産として売却の対象です。別荘などを持っていて生活保護を受けられないのは、イメージしやすいでしょう。

一方で自分が住んでいる自宅は広さや間取り、生活している家族の人数に見合うものであれば所有を継続できる可能性があります。

親族からの援助を受けられるなら受給できない

生活保護を申請すると、保護を決定するための調査がケースワーカーによって行われます。

具体的な調査内容は以下のとおりです。

  • 生活状況などを把握するための実地調査(家庭訪問等)
  • 預貯金、保険、不動産などの資産調査
  • 扶養義務者による扶養の可否の調査
  • 年金等の社会保障、就労収入等の調査
  • 就労の可能性の調査

生活保護を申請した人の親や兄弟といった親族がいる場合、「扶養の可否の調査」が行われます。

申請者を扶養に入れたり仕送りをしたりといった、生活のサポートはできるかを確認する調査です。
もし親族からの援助が受けられるのであれば、原則として生活保護を受けることはできません。

ただし、この扶養の可否の調査は親族に扶養を強制するものではないため、扶養や援助をするかは親族の判断次第です。

もし拒否された場合、この点においては生活保護を受ける権利があるということになります。

生活保護受給者が持ってはいけないもの

生活保護受給者が原則として持ってはいけないものを解説します。

原則として、以下のような資産は生活保護を受給するにあたっては持つことができません。

  • 一定以上の現金・預金
  • 貯蓄型の保険
  • 株等の有価証券
  • 住んでいない土地・建物
  • 高級な装飾品

10万円以上の現金・預金

世帯内の現金や預貯金が一定以上ある場合は申請が却下される場合があります。

金額はケースワーカーの判断によっても異なる場合がありますが、一般的には10万円以上の現金が残っていると却下される可能性が高いとされます。

ただし、生活に必要な支払いをしたらお金が尽きてしまう場合であれば、お金を残していることが理由で却下されることは少ないでしょう。

終身保険や養老保険などの貯蓄型の保険

原則として売却できる資産がある場合、申請が却下されやすくなります。

保険も同様です。

保険は大きく分けて「掛け捨て」「貯蓄型」に分類されます。

掛け捨ては定期保険や収入保障保険に代表される、「保険料が格安な代わりに解約しても解約返戻金を受け取れない」保険です。

一方の貯蓄型は例えば「終身保険」が該当します。
保障は一生涯で、解約すると保険料を支払った期間に応じて解約返戻金を受け取れます。

「養老保険」であれば途中で解約すれば解約返戻金、満期まで持ち続けると満期保険金を得ることが可能です。

このような貯蓄性の高い保険に加入している場合、原則として解約して解約返戻金を受け取るように指導されます。

換金が可能な株などの有価証券

株式とは、株式会社が資金を出資してくれた人に対して発行する証券のことです。

保有の割合に応じて経営に参加することができ、利益が出た時は保有株式数に応じて配当金を受け取ることができます。

生活保護は国が定めた最低限度の生活を保障する制度です。株式投資のような投資商品は続けることはできません。

売却して現金に換え、生活費に充てることが求められます。

住んでおらず売却可能な土地・建物などの不動産

不動産も資産の一つです。
例えば活用できていない土地や住宅を所有している場合、原則として売却の対象です。

一方ですでに被保護者が居住している住宅の場合、すぐさま換金できる資産とはみなされません。売却を指示されることは原則としてはないと考えて良いでしょう。

とはいえ、例えば2~3人の世帯で5LDK、6LDKといった大きな間取りの住宅は売却を求められる場合があります。

持ち家の売却の基準については、厚生労働省で以下のとおりに設定されています。

標準3人世帯の生活扶助基準額に同住宅扶助特別基準額を加えた額の概ね10年分(約2千万円)を目処。

引用元:厚生労働省|不動産の保有の考え方

この基準を超える場合は原則として売却と考えておきましょう。

換金性の高い高級な装飾品

生活保護は最低限度の生活の保障している制度ですから、高級な装飾品や腕時計は売却して現金化することを求められます。

可能な限り売却が必要なもの

「クレジットカード」は利用方法に制限がある

クレジットカードはショッピングの代金を立て替え、現金を直接ATMから引き出すことができるカードのことです。

生活保護の受給者であってもクレジットカードを使うことは可能です。

ただし、利用方法に一定の制限があることは知っておきましょう。

  • ぜいたく品の購入は不可
  • キャッシングはできない

リボ払いや分割払いは利息や手数料がかかるので、生活水準に見合わない大きな支出になりやすいため注意が必要です。

クレジットカードの利用は自分で判断せず、内容について保護課の担当者に相談したうえで使用しましょう。

自立に必須ではない車・大型バイク

現状では、ほとんどの自治体で生活保護受給中の車の所有は認められていません。

生活保護受給者では車の維持費を負担することが不可能であり、事故を起こした際の賠償能力がありません。

また、他の低所得者世帯とのバランスを取る必要があるなどの理由もあって所有できないのが原則です。

申請前から車を所有している場合は処分して、手にした資金を生活のために使用することが求められます。

車やバイクを持っても問題ないケースとは

一方で、全員が必ず車を手放さなければいけないというわけではありません。

車の所有が認められる、下記のようなケースもあります。

  • 公共の交通機関が整っていない
  • 病気や障害のため通院に必要
  • 通勤するのにどうしても車が必要
  • 自営業の仕事のために車が必要

要するに「車なしでの生活が困難」と認められた場合は車の所有が認められます。

ただし、注意点があります。
「認められた目的以外には利用できない」ということです。

「生活保護は車の利用が制限される」という原則は、一定の目的での所有を認められている人でも同じです。事故を起こしても賠償能力がないのは車の使用を認められた人も認められていない人も変わりません。

「連休だから県外に旅行に行こう!」というような使い方はできないことは理解しておきましょう。

https://www.holos.jp/media/welfare-car-exception.php

「2台目以降のパソコン・スマホ・タブレット」は生活必需品ではない

パソコンや携帯電話、スマートフォン、タブレットなどは今ではただの便利アイテムではなく、立派な生活必需品です。

しかし、2台目以降のパソコンやスマートフォン、タブレットなど、ケースワーカーが「生活に必要ない」と判断した場合は解約を求められる可能性があります。

また、節約の観点からみても、よほどの事情がない限り持てるパソコンやスマホは最低限が望ましいです。
スマートフォンは月額利用料が固定でかかり、複数台持っているだけで生活扶助を圧迫します。

生活保護の脱却を目指すのであれば、できる限り解約して現金を残すことが望ましいでしょう。

生活保護受給でも持って大丈夫なもの

生活保護を受ける人でも、持つことが許されるものがあります。

判断するポイントは「日常生活に必要なものであるか」という点です。

生活保護受給者が持てる具体的な例は以下のとおりです。

  • 生活に必須の家具・家電
  • ペット
  • エアコン
  • 1台目のパソコン・スマホ
  • 自転車

生活に必須の家具・家電

高級なブランドものの家具は別ですが、生活に必須な家具であれば基本的に所有が認められます。

また、エアコンなど冷暖房器具は高額なものもありますが、健康の維持にかかせないため、所有が認められます。

【監修者】

所有が認められる家具や家財道具とは、具体的にはエアコンの他、冷蔵庫、電子レンジなどの生活用品家電や、調理器具、食器類、布団などです。

骨董品の焼き物や羽毛布団などで、未使用の高級品なら売却や指導される可能性もあります。
しかし、現に生活用品として使用しているものであれば、そのまま使用して大丈夫です。

ただし、保護期間中に故障したり消耗しても基本的に買い替え費用は出ません。

これは、日常生活に使用する家財類の買い替えは、日常の生活費(生活扶助費)のやりくりの中で工面するものだからです。

生活保護の中に「家具什器費」などの項目があります。

これは日用品を全く所有していないホームレスが、はじめて居宅生活をはじめる場合などに支給されるものなので注意しましょう。

例外はエアコンなどの冷暖房器具で、これは健康の維持に欠かせないことから、2018年に厚生労働省が熱中症予防として、上限5万円のエアコン購入費用を生活保護世帯に支給しています。

それ以前に故障したエアコンの買い替えに限っては、社会福祉協議会からお金を借りることが認められるなど、他の家電とは取り扱いが異なります。

ただし、今後もこのような支給が行われるかは分かりませんので、都度確認しましょう。

家具什器費が利用できるケース

家具什器費は生活保護を受給していれば誰でも使えるわけではありません。
購入する資金を持っていない、あるいは使うことができない場合に限られます。

例えば洗濯機がないと、毎回コインランドリーでお金を使うことになります。
炊飯器がなければ外食やコンビニ食の可能性が上がるでしょう。

冷蔵庫がないと、夏場に食べ物を保存しておくことすらできません。

このような事情をケースワーカーに説明することで、承諾してもらえる可能性があります。
ほかにも家電が老朽化して困っている場合、速やかにケースワーカーに相談しましょう。

生活に必要だと判断されれば、家具什器費の支給が認められる場合があります。

ペットは贅沢品とはみなされない

生活保護法にペットの飼育を禁止する規定がないため、生活保護を受けていてもペットを飼うことは可能です。

生活保護は最低限の生活保障ですから、当然ぜいたくは禁止になります。
ただし、ペットの規制が法律で定められていない以上、法的にはペットはぜたいく品ではないということです。

ただし、生活保護費として受け取れるお金にペット用のお金が用意されるわけではありません。

エサ代に病院代など、何かとお金がかかるのがペット飼育です。ペットの生活が圧迫されてしまうことは覚悟しておく必要があるでしょう。

「1台目のパソコン・スマホ」は生活必需品とみなされる

パソコンやスマホは、ひと昔前であればぜいたく品のような扱いを受けていました。

今では小学生がプログラミングを学ぶのが必修になっている時代ですから、立派な生活必需品といえます。

特にスマートフォンは勤務先や顧客とのやり取りなど、仕事するうえでも絶対になくてはならないツールです。これらを1台持っているからといって、生活保護が却下されることはありません。

条件次第で購入な「自転車」も購入可能

生活保護を受けていても、自転車を購入することは可能です。

例えば「通勤時に歩くと時間がかかりすぎる」「遠距離で、とても歩ける距離ではない」といったケースが該当します。

そのほか、条件次第では通常の自転車より高額な電動自転車の購入が可能です。

たとえば膝が悪い人は通常の自転車では負担が重くなります。

また、坂道が多い地域で高齢の受給者が通常の自転車で駆け上がるのは難しいでしょう。このようなやむを得ない事情がある場合、購入が認められる可能性があります。

ただし、購入に際して特別な給付金はありません。生活扶助を切り詰めて購入する必要があることは覚悟しておかなければいけません。

【まとめ】判断に迷った場合はケースワーカーに相談を

今回は、生活保護受給者が持ってはいけないもの、持っても良いものに分けて解説しました。

不動産や車、電動自転車などの高価な資産や家電であっても、条件が揃えば持つことは可能です。

一方で、貯蓄性の高い保険や株式など、換金性の高い資産については原則として売却の対象であることも覚えておきましょう。

今回紹介した商品以外にも「持ってはいけないもの」「持って良いもの」は数多くあります。
判断に迷った時は、迷わずにケースワーカーに相談しましょう。

本記事に記載されているのはあくまでも生活保護制度の例であり、必ず同じように保護が受けられるとは限りません。
生活保護にはこの他にも様々な特別基準やルールがあり、実際にどのような支援が受けられるかは個別の状況に応じて福祉事務所が決定します。
実際に保護の相談や申請を行う際は必ずお住まいの地区の福祉事務所(市役所や区役所、保健所の福祉窓口)に直接ご確認ください。