生活保護

生活保護でもクレジットカードは持てる?利用の際の注意点は?

 

買い物や携帯・スマホ料金の支払い、急ぎの事態での現金の借り入れまで、生活に欠かせないアイテムになっているのが「クレジットカード」です。

生活保護を受けている人もを持つことはできるのでしょうか?実は、使うためにはいくつもの条件があります。

今回は、生活保護とクレジットカードの関係を見ていきましょう。

監修者
田中 與志彦
元自治体職員として福祉部局で生活保護ケースワーカーや、環境部局で地球温暖化対策実行計画・環境マネジメントシステム策定などに従事。 現在は行政経験を活かしての記事・コラム執筆や、故郷である京都府宇治市の地球温暖化対策推進パートナーシップ会議のメンバーとして、小水力発電の普及促進や環境保全活動を行っています。

生活保護でもクレジットカードは作れるのか

生活保護を受けている人は、そもそもクレジットカードを持つことは許されるのでしょうか?

結論から言えば、所有すること自体は不可能ではありません。

ここでは、生活保護の受給者がクレジットカードを持てる根拠を解説します。

所持を禁止する法律はない

カード会社がチェックする審査項目には、生活保護をチェックする項目はありません。
また、生活保護法にもクレジットカードの所持を直接禁止する決まりはありません。

クレジットカードの申し込み・利用・返済履歴は個人信用情報機関に記録されます。

しかし、個人信用情報機関に記録される情報に生活保護の受給に関する項目はありません。

つまり、審査にさえ通過できれば、所有は法的には問題ないということになります。

収入が増加したら福祉事務所への報告義務あり

「クレジットカードを作ってはいけない」という法律は存在しません。しかし、間接的に違反することになりそうな法律はあります。

被保護者は、収入、支出その他生計の状況について変動があつたとき、又は居住地若しくは世帯の構成に異動があつたときは、すみやかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を届け出なければならない。
引用元:e-Gov|生活保護法第六十一条

生活保護法の第61条は、収入に変動があった場合の福祉事務所への報告を義務付けています。

クレジットカードのショッピング枠、キャッシング枠を利用することは、れっきとした「収入」に該当します。

収入があったのに申告をしていない場合、「不正受給」として法律違反の扱いになります。

審査を通過できるかがカギ

所持することが違法ではないとはいえ「生活保護受給者が審査に通過できるのか」は別の問題です。

多くの場合、生活保護であるとバレてしまえば審査に通過することは出来ません。

カード会社は生活保護か判断できない

申し込み時に生活保護であることが知られてしまうと、ほとんどの場合で審査に落ちてしまうはずです。

しかし、クレジットカードの申告欄に生活保護という項目はありません。
自分からカミングアウトしない限り、カード会社に生活保護を受けている事実は知られることはありません。

審査を通過するのは難しい

生活保護を受けている人でも、クレジットカードを申請すること自体は不可能ではありません。
しかし、カード会社の審査を通過することは難しいと言わざるを得ません。

生活保護を受けているということは、以下のような状態を指します。

  • 使える資産は徹底して使っている
  • ケガや病気で働くことができない
  • 援助してくれる家族・親戚がいない

このように、返済能力が圧倒的に不足しているわけです。

カード会社とは返済能力の高さで審査の合否を判断します。
返済能力が不足している生活保護受給者は、そもそも審査に通過することが難しいのです。

クレジットカード会社としては貸したお金が返ってこない「貸し倒れ」は絶対に避けたいと思うものです。
そのため、審査では安定した収入があることが最優先されます。

クレジットカードを持てるような安定した収入があるのなら、そもそも生活保護は受けられないということになってしまうでしょう。

審査を通過するためのポイント

生活保護に受けている人がクレジットカードを作る場合、一般的な申込者と比べて気を付けるべき点があります。

審査に通過する確率を少しでも高めるためのポイントを確認しておきましょう。

  • 申し込み時に「年収」を書く
  • 最低限の利用限度額を設定する
  • 生活保護であることで申請しない
  • 在籍確認の電話では必ず出る

申し込み時に「年収」を書く

カード会社の審査で重視しているのは、安定した収入があるかどうかです。
少しでも収入があるのなら、年収・収入の項目に余さず入力することが大切になります。

ただし、収入状況によってはどのカード会社でも審査に通過できないことは十分に考えられます。

カード会社の種類によっても、発行しやすい・しにくいものがありますから、できるだけ「クレジットカードの審査が甘い」という評判のカードを選ぶことも大事になるでしょう。

最低限の利用限度額を設定する

クレジットカードの申し込みでは「いくらまで借りられるか」を決めるために利用限度額を設定します。

生活保護を受けている以上、利用限度額を最小限にするべきです。
多くのクレジットカードでは最低の利用限度額10万円に設定されているため、10万円が1つの目安になります。

収入に見合わない利用限度額を希望した場合、支払い能力がないとみなされて審査に通らなくなる可能性があります。

「生活保護」と申請しない

カードの申し込みを行う際、自分から「無職」「生活保護である」と申告する必要はありません。

なぜなら、カード会社は申込者から申告されない限り、申込者が生活保護を受けていることを知ることはできません。

自分の口から正直に生活保護であると伝えてしまうと、返済能力への不安から審査に落ちる可能性が跳ね上がります。

アルバイトで収入を得ているなら「フリーター」、自宅で仕事をしている場合であれば「自由業」「自営業」と記入しましょう。

在籍確認の電話には必ず出る

在籍確認とは、申し込み時に申告した勤務先に間違いなく在籍しているかを確認する作業のことです。

フリーターと申告した場合は働いている職場に、自由業と申告した場合は自宅に在籍確認の電話がかかってきます。
在籍確認では必ず電話に出るように気を付けて下さい。

電話に出て在籍確認が終わらない場合、審査は先に進めません。

在籍確認は個人名でかかってくるため、自分以外に電話に出た人にクレジットカードの利用であることがバレることはありません。

クレジットカードを発行する際の注意点

生活保護を受けていない一般的な人の場合は、カードの利用に制限はありません。
一方で生活保護の受給者は、カードの利用には一定の制限があります。

発行する際の注意点として、以下の6点を紹介します。

  • ぜいたく品は購入できない
  • リボ払いや分割払いは原則できない
  • 福祉事務所へ必ず連絡・相談
  • キャッシング機能は利用できない
  • 無許可での乱用は生活保護取り消しの対象
  • 虚偽の申告は絶対にしない

ぜいたく品は購入できない

生活保護費で購入する商品は、生活必需品であることが前提です。
ぜいたく品を購入した事実が知られてしまうと、支給打ち切りもありえます。

クレジットカード払いは現金よりも大きな買い物ができてしまうため、特に注意が必要です。

クレジットカード払いが認められるものとしては「スマートフォンの代金支払い」など、生活に必要な範囲に留まることを理解しておきましょう。

リボ払いや分割払いは原則できない

生活保護受給者がクレジットカードを使えるとしても、原則としてリボ払い・分割払いはできません。

生活保護法第60条には「支出の節約」という項目があります。

リボ払い・分割払いには手数料が発生するため、必要ない手数料はこの法律に反する恐れがあるのです。

福祉事務所へ必ず連絡・相談

生活保護の受給者がクレジットカードを利用する場合、事前に必ず利用の可否を福祉事務所に相談しなければいけません。

生活保護中の借り入れは返済義務があるにもかかわらず「収入」とみなされるためです。

生活保護は最低生活費に満たない分を支給してくれる制度のため、収入が上がった場合はその分の生活保護費は減額となります。

収入が上がったのに福祉事務所に報告せず、従来通りの支給を受けることは「不正受給」に該当し、減額や支給を打ち切り、最悪の場合には今まで利用した分の費用の返還義務が生じることになります。

クレジットカードを作る前に福祉事務所に報告し、用途・利用目的を伝えましょう。

判断は千差万別ですが、状況によっては一部の利用を許可される場合があります。

例えば「毎月のスマートフォン料金の支払い」をカード払いにするくらいのことであれば、認めてくれる可能性があります。

キャッシング機能は利用できない

もしクレジットカードの利用が許可されたとしても、キャッシング機能は利用できません。

キャッシングとは「キャッシング枠」が設定されたカードを使って現金を借り入れることです。

キャッシングで現金を手に入れることは、クレジットカードの機能であっても立派な「借金」です。
生活保護法第60条「支出の節約を図る」の趣旨から外れます。

クレジットカードを申し込む場合は、あらかじめキャッシング枠の利用金額を0円に設定して使えないようにしておきましょう。

無許可での乱用は生活保護取り消しの対象

クレジットカードの使用を事前に福祉事務所に連絡・相談することで「カードを持って良いのか・悪いのか」「持って良い場合は、何に使っていいのか、悪いのか」について判断してもらえます。

この判断無しに勝手にカードを使って買い物をした場合、収入を申告しなかったとして「不正受給」の対象です。

不正受給に認定された場合は生活保護の取り消しや、今まで支給された生活保護の返還という重い処分が下されます。

悪質な場合、詐欺罪で逮捕・起訴される可能性もあるのです。

虚偽の申告は絶対にしない

生活保護でクレジットカードを持とうとする場合、「審査に通過できないのでは・・・」と不安になることは当然でしょう。

しかし、何があっても虚偽の申告はしてはいけません。

例えば「年収を多めに申告する」といった不正な手段でクレジットカードを作ったことが発覚した場合、発覚した時点でクレジットカードは解約になり、今までの利用金額全額の返済が求められることになります。

また、不正な手段でクレジットカードを作って強制解約されると、その事実じゃカード会社のデータベースに記録されます。

そのカード会社やグループ会社のクレジットカードは半永久的に利用できなくなります。

クレジットカード以外のカードも検討する

プリペイドカード

プリペイドカードは料金を事前に自分でチャージしておき、チャージした分だけ使えるタイプのカードです。

入金した以上の金額は使えず、チャージする金額は自分のお金です。クレジットカードのように借金にカウントされることもありません。

審査不要で誰でも使えるうえ、お金の使い過ぎを防ぐことができるメリットもあります。

デビットカード

デビットカードは、支払いと同時に銀行口座から支払いが行われるカードのことです。
デビットカードが口座と紐づけされており、デビットカードで支払ったものは瞬時に口座から引き落とされます。

クレジットカードと違って、支払代金を立て替えたり現金を借りたりすることはできません。
利用金額の上限は口座の残高の範囲内です。あくまでの自分のお金を使うだけですから、生活保護中であっても問題なく利用できます。

生活保護前にクレジットカードを持っていた場合は?

生活保護を受ける前に、クレジットカードを1~2枚持っている人は多いのではないでしょうか。

現状では、解約することになる可能性が高いと言えます。

クレジットカードの利用は借金とみなされるため、生活保護費を借金の返済に使うことができません。よって、申請時のクレジットカード所有は認められないことが多いのです。

ただし、利用さえしなけ解約しなくても良いというケースもあります。

福祉事務所によって対応が異なりますが、ケースワーカーとの信頼関係によっても対応が変わることは考えられます。

たとえば生活保護を受けているのに高価なものを買ってしまう等、生活態度が悪くて改められない場合はクレジットカードは解約になると考えた方が良いでしょう。

まとめ

今回は、生活保護とクレジットカードの関係を解説しました。

クレジットカード会社の審査にさえ通過できればカードを持つことは不可能ではありませんが、「福祉事務所への報告が必須」「利用できる機能が一部に制限される」「不正利用は保護が打ち切りになる」といったデメリットがあります。

不正受給にならないように気を付けつつ、福祉事務所が認める適正な範囲内で使うことを心がけましょう。

本記事に記載されているのはあくまでも生活保護制度の例であり、必ず同じように保護が受けられるとは限りません。
生活保護にはこの他にも様々な特別基準やルールがあり、実際にどのような支援が受けられるかは個別の状況に応じて福祉事務所が決定します。
実際に保護の相談や申請を行う際は必ずお住まいの地区の福祉事務所(市役所や区役所、保健所の福祉窓口)に直接ご確認ください。